研究課題/領域番号 |
21K08185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
間藤 尚子 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80406149)
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研究分担者 |
平原 潔 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00707193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / 免疫関連有害事象 / T細胞 / NK細胞 / IFNγ / 癌性胸膜炎 / 効果予測マーカー / 治療反応予測 / IrAE |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤の唯一の効果予測マーカーは癌細胞上のPD-L1発現であるが、癌性胸膜炎ではPD-L1の評価が不可能である。また免疫チェックポイント阻害剤の細胞単位での作用メカニズムには不明な点が多い。そこで、我々は癌性胸水の癌細胞と免疫細胞を共培養し、抗PD-1抗体の作用下でIFNγ産生を指標に効果および有害事象を含めた治療反応を再現する系を開発中である。また胸水VEGF高値症例では治療効果が低下しており、VEGFの阻害による治療増強効果を検証する。本研究は、免疫チェックポイント阻害剤の治療反応を多面的に評価し、効果増強戦略を追求して肺癌の個別化医療に寄与するものである。
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研究実績の概要 |
我々は肺癌癌性胸膜炎患者において、免疫チェックポイント阻害剤に対する効果を予測するシステムの構築に取り組んだ。初年度(2021年)の検討では、肺癌癌性胸膜炎検体から分離した癌細胞と免疫細胞との共培養システムを作成し、免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブを作用させた結果、T細胞へのニボルマブ結合と細胞内IFNγ産生の増加が確認された。我々はこのIFNγ産生量とIFN産生T細胞数を治療効果のバイオマーカーと仮定し、実際の治療効果との相関を検証することとした。しかしながら、次年度(2022年)に20例の検討を行った結果、患者の実際の治療効果と、FNγ産生T細胞数とFNγ産生量との間に有意な相関を示すことができなかった。一方で予想に反し、これらのバイオマーカーは免疫関連有害事象を発現した患者で有意に増加を認めた。このことから、これらの指標が有害事象の予測マーカーとなりうると推測し、今後の検討を有害事象に着目して行うこととした。現在はニボルマブおよびそのほかの免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者の血液検体の解析に移行し、薬剤の投与後に経時的に①血清中のIFNγ産生量、②免疫チェックポイント阻害剤が結合したT細胞数およびIFNγ産生細胞数、③T細胞を含めた各種免疫細胞 (CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞、制御性T細胞数、NK細胞)のプロファイルの変化、④免疫関連有害事象発現の有無および時期との相関を解析中である。 もう一つの検討として、免疫関連有害事象を生じた各臓器から生検を施行し、薬剤の種類や臓器ごとに、動員される免疫細胞および組織反応に固有性があるかを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初想定していた効果との有意な相関が認められず、計画通りに進まなかった。一方で、免疫関連有害事象との相関が認められたため、有害事象を研究対象とすべくテーマを変更した。このため一部の研究計画を変更することとなり時間を要した。このほか、2022年はCOVID-19の診療、人事異動なども重なり研究に遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
ニボルマブおよびそのほかの免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者を対象に、薬剤投与後経時的に①血清中のIFNγ産生量、②免疫チェックポイント阻害剤が結合したT細胞数およびIFNγ産生細胞数、さらに免疫細胞として、③制御性T細胞数、④NK細胞数を経時的に測定し、免疫関連有害事象発現との相関を検討中である。 もう一つの検討として、免疫関連有害事象を生じた組織(肺、皮膚、腸管)から生検し免疫染色を行い、実際の有害事象に動員される細胞のプロファイルを免疫チェックポイント阻害剤ごとに、検証している。さらに、浸潤しているT細胞からのグランザイムBの産生、抗体製剤の結合の状態を評価している。これらの検討を2023年にかけて継続し、今後有害事象に有効な治療や予防へ研究を展開する方針である。
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