研究課題/領域番号 |
21K08189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
青柴 和徹 東京医科大学, 医学部, 教授 (60231776)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肺癌 / 低酸素 / アシドーシス / E-カドヘリン / 上皮間葉転換 / 乳酸 |
研究開始時の研究の概要 |
癌細胞は低酸素、低栄養、アシドーシスなどの環境ストレスに適応して生存しているが、アシドーシスに対する適応機序については不明な点が多い。本研究課題ではアシドーシスが肺癌細胞の浸潤と転移に与える影響とその制御法を検討するために、低酸素曝露による上皮間葉転換 (Epithelial mesenchymal transition: EMT)を介した肺癌細胞の浸潤と転移におけるアシドーシスの役割を明らかにする。予備実験においては肺癌細胞の低酸素曝露によるEMTがアシドーシスの中和によりほぼ完全に抑制されたことから、アシドーシス制御による低酸素曝露EMTの抑制法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
低酸素環境における酸性化(アシドーシス)が肺癌細胞の浸潤と転移に与える影響を明らかにするために、上皮間葉転換 (Epithelial mesenchymal transition: EMT)に対する影響を検討した。肺癌細胞を低酸素(1%O2)に曝露するとEMTが亢進したが、解糖系亢進による培養液の酸性化 (pH 6.8) を中和(pH 7.6)すると低酸素によるEMTがほぼ完全に抑制された。さらに低酸素下ではEMTを防止するE-カドヘリンの蛋白量が減少したが、酸性培養液を中和するとその減少が抑制された。その原因として低酸素による酸性条件下では、E-カドヘリンのmRNA量が減少するとともに、E-カドヘリン蛋白の分解が促進されることが明らかになった。その機序として、低酸素による酸性条件下ではE-カドヘリン蛋白のユビキチン化の亢進が見出された。しかしながらプロテアソーム阻害薬の存在下においてもE-カドヘリンの分解が抑制されなかったことから、低酸素酸性条件下におけるE-カドヘリン蛋白の分解亢進はプロテアソーム系ではなく、ライソゾーム系による分解処理を介しているものと考えられた。さらに低酸素下においては肺癌細胞のマイトファジー亢進によりミトコンドリアの分解が亢進したが、ライソゾーム機能を抑制するアジスロマイシンを投与するとマイトファジーが抑制され、低酸素曝露下の肺癌細胞がアポトーシスにより死滅することも明らかになった。また脂質異常症治療薬であるフェノフィブラートは、ペルオキシソーム増殖薬活性化受容体-α(PPARα)、aryl hydrocarbon receptor (AhR)、nuclear factor-erythroid 2-related factor 2 (Nrf2)の活性化を介してシスプラチンに対する薬剤抵抗性を亢進させることも明らかになった。
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