研究課題/領域番号 |
21K08195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
榊原 純 (小西純) 北海道大学, 大学病院, 講師 (50374278)
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研究分担者 |
木下 一郎 北海道大学, 大学病院, 教授 (40343008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 小細胞肺癌 / Prox1 / 治療標的 |
研究開始時の研究の概要 |
Prox1の小細胞肺癌(SCLC)における機能についてはSCLC細胞株でProx1をノックダウンした際に腫瘍増殖が抑制されたという報告があるが詳細な解析については行われていず本研究でProx1のSCLCの腫瘍原性に対する機能を詳細に検討する。また大腸癌や甲状腺癌においてProx1とNotchが相互に抑制することや、Notchが標的遺伝子であるASCL1を抑制し腫瘍抑制的に機能する報告は認めるが、SCLCにおいてProx1-Notch-ASCL1 axisについての検討は認めず本研究で明確にすることでSCLCにおける治療標的となりえるか検討する。
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研究実績の概要 |
小細胞肺がん細胞株のProx1の発現を確認したところMS-1、H1688,H592,H209,H82,H69でProx1の発現を認めSBC3,SBC5で発現が陰性であった。 このためProx1高発現の細胞株であるMS-1を実験に使用しProx1 siRNAでProx1を抑制したところMTT assay、clonogenic assayで細胞増殖がコントロールと比較して増加した。また浸潤能、遊走能をtranswell chabmer法を用いて確認したところProx1 siRNAで増強していた。次にSBC3, SBC5を使用しProx1を強制発現させたところコントロールと比較して細胞増殖能の低下と浸潤能、遊走能の低下を認めた。 次にProx1を抑制した場合の関連する分子の蛋白発現をwestern法にて確認したところNotch1-4,下流遺伝子であるHES1, HEY1を含むNotch関連蛋白の発現は予想と反して特に変化を認めなかった。またProx1を強制発現した細胞株においても同様の結果でとなりNotch pathwayとの関連性を認めなかった。 neuroblastoma cellsにおいてProx1はp-27 kip1とCdc25Aを直接転写制御しcell cycleや、細胞増に影響を及ぼすことが報告されており(Foskolou IP, et al. Oncogene, 2013)p-27 kip1の蛋白発現とmRANの発現をwesternとRT-PCRにて確認した。MS-1細胞株においてProx1 siRNAによるProx1の抑制はp-27 kip1の発現の低下を認めた。又SBC3, SBC5 のProx1の強制発現細胞株においてはp27の発現が増強していた。さらにcell cycleを確認したところProx1の強制発現細胞株でG1 cell cylce arrestを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞実験においてProxi1の発現の確認を行いProx1発現細胞株と陰性細胞株を同定した。またProx1の機能を確認する上でのsiRNAの実験とProx1 expression vectorのtransefectionが実施されprox1の抑制、強制発現がtransfectionした細胞で認められた。それらの細胞株を使用しProx1が小細胞肺がんにおいて細胞増殖、浸潤、遊走について抑制的に機能していることが証明された。さらにProx1と関連する分子の確認について当初Notch pathwayとの関連を検討していたが関連性がないことが判明した。 Prox1と関連する他の分子については既報からp-27 Kip1、Cdc25Aといったcell cylceに関連する分子が候補として考えられたためにこれらの分子について蛋白、mRNA発現の解析をしたところProx1との関連性が確認された。さらにFACS法でcell cylceについても研究を行いProx1がcell cylceに影響を及ぼすことが確認された。 Prox-1の細胞実験における機能評価は終了し関連蛋白の同定もある程度終了しており概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は細胞実験としてProx1 抑制または強制発現時のCdc25Aの発現とCyclinD1, CyclinA やCyclinBといった他のcell cylceにかかわる分子の発現をwestern 法、またはRT-PCRで確認する。またFACSにてcell cylceについての実験回数を重ねる。さらにProx1抑制または発現細胞株におけるPARPやcaspase3などのアポトーシス関連の分子の発現をwesternにて確認する。 さらにヌードマウスにSBC-3またはSBC-5 親株とProx1 強制発現細胞株をそれぞれ皮下注射しマウスモデルを作成する。その後皮下腫瘍の大きさを測定し親株と強制発現細胞株の腫瘍増大について検討する。また一部のマウスモデルの皮下腫瘍を切除しProx1、p-27 kip1、Cdc25A、cell cylce関連分子、アポトーシス関連分子の発現をwesternまたはRT-PCRにて確認する。現在MS-1にProx1 shRNAベクターをトランスフェクションし細胞株が樹立したためProx1の発現、関連蛋白の発現などを同様に確認する。また増殖能や、遊走、浸潤能についてもMTT assay, clonogenic assay、transwell chamber法で検討する。さらにヌードマウスにsnRNA細胞株を皮下接種し同様にマウスモデルを作成し細胞増殖能を確認する。 これらの実験結果を確認しながら今後学会発表、論文化の準備をすすめていく。
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