研究課題
基盤研究(C)
1.テトラサイクリン誘導性気道上皮細胞特異的IL-18欠損マウスを作成する。2.上記マウスにHDM誘発性アレルギー性気道炎症を誘発性アレルギー性気道炎症の発症における気道上皮細胞由来IL-18の働きを検討する。3.上記マウスにおけるTh2細胞分化、肺2型自然リンパ球の遺伝子発現プロファイルをRNAシークエンス法により解析する。4.野生型マウスにHDM誘発性アレルギー性気道炎症を惹起し、単細胞RNAシークエンス法によりIL-18受容体発現細胞を明らかにする。
気管支喘息の病態の中心にはTh2細胞とTh2サイトカインが存在するが、近年ではこのTh2サイトカインの分化に気道上皮細胞が深く関与していることが示された。本研究では気道上皮細胞の恒常性維持機構を解明することを目的として、マウスを用いたアレルギー性気道炎症モデルを作成し、気道上皮細胞に発現する遺伝子群を網羅的に解析した。その結果、コントロール群(PBS投与群)に比較してチリダニ(HDM)投与群では気道上皮細胞においてIL-18受容体、およびIL-18RBが高発現していることが見出された。これらの事実は気道上皮細胞の恒常性維持にIL-18シグナルが深く関与していることを示唆している。
気管支喘息は人口の約6%が罹患する呼吸器疾患である。近年では吸入ステロイド薬に加えて抗体治療薬の登場により、喘息症状のコントロールは各段に向上したが依然として対症療法を継続しているに過ぎない。本研究はアレルギー性気道炎症における気道上皮細胞の役割に着目し、初めてIL-18シグナルがその恒常性維持機構に関与することを見出した。本研究は気管支喘息の発症メカニズムの解明のみならず、発症した喘息を治癒に導く可能性も秘めたものと考える。
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