研究課題
基盤研究(C)
プローブ型共焦点顕微鏡プローブ (pCLE) による間質性肺炎の末梢肺病理画像をconvolutional neural networkを用いた深層学習によって解析し、pCLE像の機械判定によるUIP(usual interstitial pneumoniae)診断の正確性を臨床・画像・病理の統合的検討による診断(Multidisciplinary discussion: MDD診断) と前向きに比較検討することで評価し、びまん性肺疾患の内視鏡によるリアルタイム病理診断の確立を目指す。
プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡 (pCLE) (Cellvizio; AlveoFlex, Mauna Kea Technologies, France) による末梢肺自家蛍光顕微鏡画像は、間質性肺炎診断に応用できる可能性を持っている。肺内には肺胞壁 気管支壁 血管壁に弾性線維を含み、含有されるエラスチン分子には自家蛍光があることが判明している。また肺胞マクロファージにも自家蛍光があり、これらをこの顕微鏡プローブで直接観察することで肺胞壁の肥厚や弾性線維の破壊程度、あるいは肺胞内の炎症状況の微細像がリアルタイムで観察できる。これまでの研究において間質性肺炎の各病型には異なる画像パターンがあることが判明しており病理学的所見ともある程度一致する所見が得られている。しかし得られる画像は動画データであり、症例毎・疾患毎の画像特徴を肉眼的に抽出するのは困難であり、AI(人工知能)を用いた解析が有用である可能性がある。pCLEプローブを気管支鏡(オリンパスBF260またはBFp290F)の鉗子チャネルから挿入し胸膜直下から数cmの範囲で撮像した。UIP 3症例とfNSIP 3症例の動画データをテクスチャ解析と機械学習法を用いて解析し、抽出した画像特徴量を識別器に入力して、鑑別の正解率について検討した。74種類の画像特徴量が抽出され、機械学習法としてNaive Bayes法を用いた場合、個々の画像ベースの鑑別については64.7%の識別正解率であり、症例ベースでは3例中それぞれ2例を正しく識別(67%)した。AIによる機械学習を用いたpCLE画像からの間質性肺炎病型鑑別は今後、検討可能な技術であると思われた。画像取得の部位、時間、病期によって結果が異なることが考えられ、データ採取の標準化が重要であることも考えられた。
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