研究課題/領域番号 |
21K08220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山縣 邦弘 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90312850)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Calciprotein particles / FGF23 / 腎硬化症 / THMマウス / リン負荷 / 透析導入コホート / Nephron index / 巣状糸球体硬化症 / 蛋白尿 / 慢性腎不全 / ミトコンドリア機能 / リン代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
巣状糸球体硬化症病変は、糸球体の脱落に至るFinal common pathwayとされ、主要原疾患に共通して認められる変化である。本研究では糸球体基底膜をはさんだ血管内皮細胞障害とポドサイト障害の要因として、加齢や腎機能低下に伴うリン負荷により血中、尿中に増加の認められるcalciprotein particleを介した慢性炎症惹起ならびに変性ミトコンドリアDNAやミトコンドリアから放出された活性酸素がNLRP3インフラソームを活性化させ炎症惹起する2つの炎症機構の果たす役割を検討し、内因性の炎症という視点からFSGS病変形成機序の解明と腎硬化症の新たな治療法を確立することである。
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研究実績の概要 |
臨床検体での検討では、serum calcification propensity test (T50)を追加し検討した。その結果、CPP/Pi比は血清低比重リポ蛋白コレステロール値および補正カルシウム値と正の相関を示し、T50と負の相関を示した。CPP/Pi比の四分位が上昇するほどMACEリスクは増加した。血清T50およびT50/PiはいずれもMACEと関連していなかった。以上の結果を含め現在論文投稿中である。 動物実験についてはリン負荷食による腎病変、炎症の進展を観察するために、ANS(A: angiotensin II、N: nephrectomy、S: saline)マウスは、アンジオテンシンII、片腎摘出、生理食塩液を投与することで心機能・腎機能の低下をきたす心腎連関病態モデル、THM(Tsukuba hypertensive mice)は、ヒトレニンを遺伝子導入されたマウスとヒトアンジオテンシノーゲンを遺伝子導入されたマウスを交配することで高血圧を呈するマウスである。 ANSマウスでは高リン食群は3匹中1匹のみ生存で評価不能。THMマウスでは高リン食群は14匹中7匹が生存した。高リン食はPi 2.0%となるように調整した。通常食はMF(Pi 約0.8%)とした。体重は、高リン食群で負荷開始後4週以降に減少がみられた。(高リン食群22.5g、通常食群 26.3g、p<0.05(8週時点))。血圧は両群間で差がなかった。尿アルブミンは高リン食群で低値であった(高リン食群1.07 μg/day、通常食群2.89 μg/day、p = 0.129(4週時点))。腎組織(PAS染色)、心組織(MT染色)はともに明確な変化は認められなかった。そこでTHMマウスに高リン食と0.45%食塩水を負荷すると、4-6週で円柱や糸球体硬化病変などのフェノタイプの出現を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験において、腎硬化症モデルにおけるリン負荷の有無による、腎糸球体変化の詳細の検討を予定していた。炎症出現などの評価の出来ているANSマウスでは、リン負荷により、観察期間に過半数が死亡するため、他の適切なモデルマウスを検索する必要がでた。THMマウスは、リン負荷により体重減少の発現はあるものの、腎病態、腎硬化症が認められず、そこでリン負荷に食塩負荷を加えることで、腎硬化症モデルでのリン負荷実験が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究については、論文投稿済みで、現在査読後の再投稿の返事待ちである。 動物実験については、THMマウスに食塩負荷した腎硬化症モデルにリン負荷の有無による腎組織における炎症病態、血管病変などの詳細な変化の検討を進めていく予定である。
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