研究課題/領域番号 |
21K08239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松田 裕之 日本大学, 医学部, 助教 (10646037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | COMMD5 / HCaRG / 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / 尿細管上皮バリア / 尿細管上皮の完全性 / E-cadherin / オートファジー / E-カドヘリン / Epithelial integrity / レトリーバー複合体 / 上皮細胞バリア / マイトファジー |
研究開始時の研究の概要 |
COMMD5は、障害を受けた腎臓の尿細管上皮細胞の再生を促し、急性腎障害後の腎機能を改善させる働きのある遺伝子である。本研究は、COMMD5の上皮細胞間構造の安定化作用に着目し、腎臓の尿細管上皮バリアの恒常性維持機構を明らかにし、新たなる腎臓病に対する治療法の開発を目的としている。計画している研究項目は、① COMMD5によるE-cadherinを介した細胞間構造の安定化メカニズムの解明、② 遺伝子改変動物を用いた急性腎障害モデルにおけるCOMMD5の腎保護効果と尿細管上皮バリアの役割、③ 腎臓病に対する治療薬としての分解耐性膜透過性COMMD5合成タンパクの可能性、を検証する事である。
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研究成果の概要 |
これまで、急性腎障害は治る病気と考えられていたが、その死亡率の高さや罹患後に長期予後が著しく悪化することも知られるようになり、急性腎障害が慢性腎臓病に進展するメカニズムについて注目されるようになった。本研究では、COMMD5/HCaRGが、細胞間接着因子であるE-cadherinの発現を調整し、尿細管上皮バリア機能を維持することで、腎臓の細胞が受ける障害を軽減し、損傷した細胞内小器官をオートファジー・リソソーム経路が円滑に分解できるようにすることで、薬剤性急性腎障害による組織障害や腎機能低下が抑制され、慢性腎臓病への進展が抑制されていることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上皮細胞は、生体内の内部環境と外部環境を隔て、生体の恒常性を維持する役割を担っている。本研究では、COMMD5/HCaRGが、細胞内膜タンパク輸送体を形成し、尿細管上皮細胞の完全性維持に必要な細胞間構造の構成タンパク質などの発現を調整し、腎障害の発症と進展を抑制していることが示唆された。現在、日本の血液透析患者数は、2017年に33万人を超えて増加の一途をたどっており、年間1兆6000億円に上ると推計される医療費も社会的問題となっている。今後、COMMD5を標的とした新たな腎臓病の治療法や予防法へと応用でき、透析導入患者を減らし、医療費の削減へ繋がると期待される。
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