研究課題/領域番号 |
21K08244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中村 典雄 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60332657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脂肪酸乳剤 / 急速進行性腎炎 / n-3系多価不飽和脂肪酸 / ANCA関連血管炎 / エイコサペンタエン酸(EPA) / ドコサヘキサエン酸(DHA) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、様々な生理活性を有する多価不飽和脂肪酸のひとつであるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の静注可能な乳剤を作製し、これを、急速進行性腎炎の原因として最も多い疾患であるANCA関連血管炎のモデルマウスへ投与し、その予防・治療効果を検討するものである。組織学的検討および脂肪酸分析も行い、その作用メカニズムについても詳細に検討することにより臨床応用への展開を期待するものである。
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研究実績の概要 |
2021年度は、本研究に用いる脂肪酸製剤、エイコサペンタエン酸(EPA)乳剤、ドコサヘキサエン酸(DHA)乳剤、対照薬剤であるn-6系多価不飽和脂肪酸乳剤(ダイズ油主体)を作成した。 2022年度は、諸事情によりANCA関連血管炎モデルマウスの準備が整わず、代替策として、急速進行性腎炎を惹起するラット腎炎惹起用モノクローナル抗体b35 (IgG2b) (Chondrex、岩井化学)を用いて腎炎モデルを作成した。4週齢の雄のWKYラットに50μg、100μg、200μgのb35抗体を腹腔内投与し、7日後に代謝ケージを用いて蓄尿し1日尿の一部を採取、また蓄尿後麻酔下にて屠殺、血液、腎を採取した。1日尿蛋白排泄量、血液よりCr、シスタチンC、BUN、腎組織にてHE染色、PASおよび免疫染色を行った。尿蛋白は用量依存的に増加し、腎組織において半月体形成性腎炎を確認した。 2023年度は引き続きモノクロナール抗体を用いた腎炎モデルにおけるDHA乳剤の効果を検討した。抗体投与量を50μgに設定して、Day1にモノクロナール抗体を腹腔内投与、引き続きDHA乳剤を尾静脈より静注、対照としてダイズ油乳剤を同様に静注した。投与量は、過去の検討から、体重あたり、10ml/kg、すなわち10%乳剤なので、1gDHA/kg、1gダイズ油/kgとした。DHAおよびダイズ油乳剤は、Day2、Day3まで静注し、day7に代謝ケージにて蓄尿、その後屠殺、麻酔下で大動脈より採血、右腎を採取した。1日尿蛋白定量、尿潜血定性、採血よりCr、シスタチンC、BUN、腎組織にてHE、PASおよび免疫染色を行い、DHA乳剤の腎炎抑制効果について検討している。DHA乳剤投与群において、ダイス油乳剤投与群と比較して1日尿蛋白量が若干低下傾向がみられており、引き続き乳剤の投与のタイミングや投与量などを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021度は、所属が異動(医学研究科→保健学研究科)となった初年度であったため、研究体制の再構築など時間を費やしたこと、コロナ禍の影響で担当している附属病院診療業務の負担が大幅に増大したこと、また、2022年9月に開催された、本研究にも関連する学会(日本脂質栄養学会第31回大会)の大会長を担当したことなどより、進捗状況が遅れていた。 2022年度は、研究体制もほぼ確立し、診療業務も徐々に定常状態となり、大会長として開催した日本脂質栄養学会第31回大会も9月に無事終了したため、10月からは順調に動物実験が進んでいる。なお、医薬基盤・健康・栄養研究所に問い合わせて、ANCA関連血管モデルマウスの手配進めているところであるが、購入し、当科にて繁殖、管理することが、マンパワーの問題から困難と判断した。代替モデルとして、急速進行性腎炎を惹起するラット腎炎惹起用モノクローナル抗体b35 (IgG2b)を用いたラット急速進行性腎炎モデルを用いることとした。このモデルラットの作成を進めて、ラットの週齢、その投与量などについて検討を重ねた。 2023年度、急速進行性腎炎モデルの作成がほぼ確立したため、これを用いてn-3系多価不飽和脂肪酸乳剤の効果を検証中である。投与のタイミング、投与量、投与回数など模索しながら、まずDHA乳剤の効果について検討中である。急速進行性腎炎モデルの安定した作成に時間を要したため、乳剤の効果の検証に時間を要している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
期間を延長し、2024年度は、漸く確立したラット腎炎惹起用モノクローナル抗体b35 (IgG2b)を用いた急速進行性腎炎モデルラットを用いて、まず、DHA乳剤の効果を、尿蛋白排泄量、血液検査、腎組織の観点から評価を進める予定である。同様にEPA乳剤についても検討を進め、最終的にはそれぞれの比較を行い、臨床的に有用性について検討を重ねる予定である。
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