研究課題/領域番号 |
21K08265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
福田 昇 日本大学, 医学部, 教授 (40267050)
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研究分担者 |
阿部 雅紀 日本大学, 医学部, 教授 (70459890)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多発性嚢胞腎 / 疾患特異的iPS細胞 / PIポリアミド / 腎オルガノイド / GSK3β / オルガノイド / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトGSK3βプロモーターCREB結合部位に複数のPIポリアミドを分子設計し、ペプチド合成する。ヒトGSK3βPIポリアミドの多発性嚢胞腎への薬物効果を観るために、ADPKD患者疾患特異的iPS細胞から、腎オルガノイドを誘導し、未分化iPS細胞を除去し、集合管構築を確認する。バソプレシンに対するADPKD患者由来腎オルガノイドの増殖に対し、PIポリアミドの抑制効果からリード化合物を決定する。PIポリアミドをヘアピン型、環状型で合成し効果を比較し、それぞれのPIポリアミドを特許申請する。その後ヒトGSK3βPIポリアミドの安全性を観るため簡易GLP試験を行い、創薬に繋げていく。
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研究実績の概要 |
我々はGSK3βプロモーターの転写因子CREBを抑制するPIポリアミドが、より有効に常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の嚢胞形成抑制が出来る事を認めた。そこで今回ADPKD患者由来疾患特異的iPS細胞を樹立し、その後腎オルガノイドを誘導し、腎オルガノイドの増殖に対するGSK3βPIポリアミドの効果を検討し創薬開発を行ってきた。 今回は共同研究にて環状型PIポリアミドがヘアピン型よりも2本鎖DNAの結合が安定しており、1オーダー低濃度で遺伝子発現抑制効果を示す事を認めた。ヒトGSK3βPIポリアミド分子設計としてヒトGSK3βプロモーター構造のCREB結合配列をソフトウエアPROMOにて解析し、PIポリアミドを複数分子設計した。次にADPKD患者および健常人から単核球を分離し、山中4因子センダイウイルスベクターを感染させiPS細胞を得た。このiPS細胞からFGF9で分化開始から7日後細胞を培養皿より分離し、遠心分離により試験管内において再集合体を形成させたのち、メンブレンフィルターのうえで最長で20日間にわたり3次元培養した。再集合体は成長し、3日目には腎包の形成がみられ、11日目にはネフロンを自発的に構築する直径3~5mm程度のADPKD患者オルガノイドが形成された。 令和4年度はADPKD患者由来疾患特異的iPS細胞からの尿細管上皮細胞を得た。ADPKD患者由来疾患特異的iPS細胞からの尿細管上皮細胞とコントロールとしての尿細管上皮細胞の遊走能の比較実験を行った。ADPKD患者由来尿細管上皮細胞とコントロール尿細管上皮細胞増殖をdDAVP 1μM投与後、WST-1アッセイで細胞増殖を行い、1μM~0.1μM 6種類のヒトGSK3βPIポリアミドの効果を評価しリード化合物を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の予定としてADPKD患者由来腎臓オルガノイドを作成したが、腎臓オルガノイドの増殖の定量的評価が困難であった。腎臓オルガノイドの全体の大きさをIMAGE-Jソフトで評価したが、ADPKD患者由来腎臓オルガノイドと健常人由来腎臓オルガノイドの大きさの変化に明確な差を見出せなかった。そこで、腎臓オルガノイドの染色にて構造的変化を評価した。腎臓オルガノイドの誘導28日目に構造的観察を行い、糸球体様構造物の確認ができた。次にNPHS1、LAMの免疫染色を行い、オルガノイドにおいて、NPHS1、LAMともに染色はされたが、ADPKD患者由来腎臓オルガノイドの増殖を染色での定量的評価が困難であった。したがって、ヒトGSK3βPIポリアミドのADPKDへの創薬開発の為に、ADPKD患者由来疾患特異的iPS細胞からの尿細管上皮細胞を得て、遊走能にて増殖評価に切り換えた。結果としてADPKD患者由来尿細管上皮細胞とコントロール尿細管上皮細胞増殖に、dDAVP 1μM投与後、WST-1アッセイで細胞増殖を行い、1μM~0.1μM 6種類のヒトGSK3βPIポリアミドの効果を評価してリード化合物を決定した。またヒトGSK3β環状PIポリアミドの合成は、ヘアピン型から環状型PIポリアミドへの合成が困難であった。したがって、ヒトGSK3β環状PIポリアミドのヘアピン型との効果の比較が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
腎臓オルガノイドの染色にて構造的変化を評価した。腎臓オルガノイドの誘導28日目に構造的観察を行い、糸球体様構造物の確認ができた。次にNPHS1、LAMの免疫染色を行った所、オルガノイドにおいてNPHS1、LAMともに染色はされたが、今後はADPKD患者由来腎臓オルガノイドの増殖を染色での定量的評価の確立を行っていく。またヒトGSK3β環状PIポリアミドの合成法はヘアピン型PIポリアミドにCysteineにて環状型にするが、これまで合成量が一回に1mg程度であった。その理由は、Cysteine環状型PIポリアミドの保存温度設定が困難であったためだが、詳細に検討し、大量合成法を検討、確立していく。これにより、ADPKD患者由来腎臓オルガノイドに1μMフォルスコリンを添加し、ヘアピン型、環状型ヒトGSK3βPIポリアミドリード化合物を0.01μMの濃度で添加、14日間培養し、腎臓オルガノイドの面積をIMAGE-Jにて評価し、どちらが強力か判定できる。腎臓オルガノイドは実験毎に作成するのは困難であり、オルガノイド誘導過程での形成された腎胞を超低温で保存し、解凍しての腎胞が腎臓オルガノイドに分化できるかを検討し、NPHS1、LAMの染色性を確認する。これでADPKDの腎砲の蓄積ができる。その後、令和5年度への研究に繋げていく。
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