研究課題/領域番号 |
21K08278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田邊 克幸 岡山大学, 大学病院, 講師 (40534805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 糖尿病性腎症 / ワクチン療法 / Vasohibin-2 / 血管新生 / 腎線維化 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病の原因として重要な糖尿病や高血圧による腎障害が進行する過程でVasohibin-2という蛋白質の関与が示唆されている。この蛋白質を標的とした新たな治療手段として、我々は、接種された動物にVasohibin-2の抗体を産生させるペプチドワクチンを作成している。本研究では、糖尿病性腎症や腎線維化の動物実験モデルに対して、このペプチドワクチンを接種し、Vasohibin-2に対するワクチン療法が腎障害の発症・進行を抑制できるかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は糖尿病性腎症と腎間質線維化の動物モデルを作成し、Vash2トランスジェニックマウスでの血管新生促進因子Vasohibin-2 (VASH2) の病態への関与の解明と、VASH2ペプチドワクチンによる進行抑制効果について検討することを目的としている。昨年度にStreptozotocin投与により作成した糖尿病マウスに対するVASH2ペプチドワクチンの接種が血圧や血糖値とは独立して尿中アルブミン排泄を有意に減少させることを示した。本年度は更に解析を進め、ワクチン接種後に血中に誘導された抗VASH2抗体が組み換えマウスVASH2蛋白に結合することを確認し、この内因性抗VASH2抗体によって糖尿病マウスでの尿中アルブミン排泄の減少とともに糸球体肥大の軽減や糸球体内マクロファージ浸潤の抑制がもたらされることが認められた。また、本年度はVash2トランスジェニックマウスを使用した糖尿病性腎症におけるVASH2の役割も検討を行った。Vash2トランスジェニックマウスは腎臓組織において野生型マウスと比較して数百倍のVash2 mRNA発現の増加を示したが、通常飼育下では明らかな表現型を示さず、尿中アルブミン排泄の増加も認めなかった。しかし、Streptozotocinによる糖尿病の誘発後に、血圧や血糖値に差は認められなかったが、尿中アルブミン排泄が増加する傾向が認められており、組織学的解析を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は糖尿病性腎症モデルマウスに対するVASH2ペプチドワクチンの有効性の機序について解析を進めており、またVash2トランスジェニックマウスを用いた糖尿病性腎症におけるVASH2の役割の解明についても並行して進めることができていることから、概ね予定通りに進展しているものと考える。腎間質線維化へのVASH2の役割の解明については今後検討を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は糖尿病性腎症に対するVASH2ペプチドワクチンの有効性の機序としての糸球体微小炎症の抑制について、接着分子や血管新生関連因子の発現等を検討する。また、VASH2トランスジェニックマウスで糖尿病性腎症の組織学的変化の解析を行うととともに、増悪の機序解明のため、培養細胞を使用した実験を行う。更に、Vash2トランスジェニックマウスでの腎間質線維化の変化や培養尿細管上皮細胞におけるVASH2の発現亢進・抑制の効果について検討を行う。
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