研究課題/領域番号 |
21K08295
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
尾崎 富美子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (60795277)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | PAPA症候群 / PAMI症候群 / iPS細胞 / 自己炎症性疾患 / / PSTPIP1 / / 好中球 / 自己炎症性疾患 / PSTPIP1 |
研究開始時の研究の概要 |
PAPA症候群やPAIDsにおける好中球異常と病態の進行について検討した研究は数少なく、本 質的な原因について検討した研究は数少なく、未だ未解明である。本研究では、自己 炎症性疾患において今まであまり注目されてこなかった好中球に焦点を当て、疾患特異的iPS細胞やマウスモデルを用いたPSTPIP1異常の適正な病態モデルを実現することにより、PAIDs患者で未だ原因不明な病態形成機構の新たな知見を得ることと,本疾患を通じてその病態形成機序を解明することにより、一般的な好中球異常を主体とする炎症性疾患への病態解明と治療に貢献することを目的とする。
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研究実績の概要 |
自己炎症性疾患の一つであるPAPA症候群は、PSTPIP1遺伝子の機能獲得型変異が、無菌性に進行性の化膿性関節炎及び、難治性の皮膚症状を引き起こす疾患である。一方、PAMI 症候群は、血清中のカルプロテクチン(CP)および亜鉛の高値を特徴とするPSTPIP1遺伝子の異なるバリアントによるPAPA症候群の重症型である。本疾患は、好中球の機能亢進が病態に関与していると推測されている。しかし、PSTPIP1変異がどのような分子メカニズムで好中球の機能異常を来すのか、また好中球異常と病態形成の機序の解明についての本質的な原因は不明な点が多い。また、これらの疾患では、治療法に対する反応は様々で、本疾患群に対する標準的な治療法は存在しない。 我々の作製したPAPA-,PAMI-iPS細胞由来好中球については、患者で報告されている表現型を再現するかどうかの検証を終えた。またPAPA-,PAMI-iPS細胞由来好中球のROS産生亢進や細胞脆弱性のみならず単球・マクロファージの多彩な炎症性シグナルの亢進と過剰なCPとの関与を明らかにした。さらに、PAMI症候群で顕著な過剰産生を認め炎症の重症化・慢性化のループの原因であることが知られているに着目し、CPをKOしたPAPA-,PAMI-iPS細胞を作製し疾患モデルを使った包括的なRNA-Seq遺伝子発現プロファイリング解析を実施し、炎症惹起機構と炎症収束機構の破綻による炎症の慢性化を引き起こす本疾患の病態形成の一旦を解明する為の情報を取得した。 現在は、本疾患におけるCP抑制療法の可能性の評価を進めるとともに、PSTPIP1変異と病態形成機序の解明の為の検討に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者由来iPS細胞と健常iPS細胞から単球・マクロファージに分化した検討を進め、包括的なRNA-Seq遺伝子発現プロファイリング解析を実施し、炎症惹起機構と炎症収束機構の破綻による炎症の慢性化を引き起こす本疾患の病態形成の一旦を解明する為の情報を取得した。
さらにPAMI症候群で顕著な過剰産生を認め炎症の重症化・慢性化のループの原因であることが知られているCPに着目し、当該疾患特異的iPS細胞及び健常由来iPS細胞へのCP-KO株を作製し、本疾患群に対するCP抑制療法の可能性を探るためその表現型解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最終年度にあたり、今まで構築してきたiPS細胞モデル系を用いて好中球や単球・マクロファージなどの自然免疫系の異常に絞って、本疾患におけるカルプロテクチン抑制療法の可能性の評価を進めるとともに、PSTPIP1変異と病態形成について明らかにしていく方針である。 しかしながら、これらの好中球や単球・マクロファージの異常がどのように皮膚などの組織障害引き起こすのか、変異の違いにより多彩な症状を呈するPSTPIP1の分子メカニズムなど未だ謎に包まれており、早期診断法や有効な治療法の開発の為には多くの課題が残されている。またこれまでの報告からPSTPIP1変異マウスモデルはヒトの表現型を示さないことから、ヒトの細胞を用いた解析が必要であることが分かってきた。今後においても当該疾患特異的iPS細胞を用いたin vitro皮膚炎モデルや関節炎モデルを作製して、自然免疫細胞と皮膚炎症の微小環境連関に着目したより詳しい機能異常や分子メカニズム、病態との関与についての研究を行い、本研究を推進していきたい。
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