研究課題
基盤研究(C)
PAPA症候群やPAIDsにおける好中球異常と病態の進行について検討した研究は数少なく、本質的な原因について検討した研究は数少なく、未だ未解明である。本研究では、自己炎症性疾患において今まであまり注目されてこなかった好中球に焦点を当て、疾患特異的iPS細胞やマウスモデルを用いたPSTPIP1異常の適正な病態モデルを実現することにより、PAIDs患者で未だ原因不明な病態形成機構の新たな知見を得ることと,本疾患を通じてその病態形成機序を解明することにより、一般的な好中球異常を主体とする炎症性疾患への病態解明と治療に貢献することを目的とする。
PAMI(PSTPIP1-associated myeloid-related proteinemia inflammatory)症候群は、好中球浸潤を伴う進行性関節炎、細胞減少症、血清S100A8/A9および亜鉛の高値を特徴とする単発性の重症自己炎症性疾患である。好中球と単球/マクロファージがこの疾患の進行に主要な役割を果たしている。iPS細胞を用いた疾患モデルは、PAMI症候群の分子および細胞病態を解明し、その重篤な炎症におけるS100A8/A9の重要な役割を明らかにした。
本研究では、PAMI症候群特異的疾患iPSC細胞モデルにより、好中球や単球・マクロファージにおける異常の分子基盤を同定した。さらに重要なことに、PAMI症候群で表現型の異常を呈する好中球や単球・マクロファージのS100A8/9の遺伝子破壊が、分子的・細胞的異常のほとんどを逆転させたことから、当該疾患においてS100A8/9が病因の中心にあることを明らかにした。本研究の成果により、iPSC由来の好中球および単球/マクロファージが、貪食機能障害を伴う疾患の病態を精査し、治療法を開発するための重要なツールであることを示した。
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