研究課題/領域番号 |
21K08308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊東 可寛 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70645837)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マイクロバイオーム / 皮膚常在菌 / 皮膚常在菌叢 / 皮膚科学 / 微生物学 / ノトバイオート / 皮膚細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚の常在微生物叢は宿主と相互作用することで、免疫応答や代謝機能を調整し、皮膚バリア機能を司る。近年では皮膚疾患に対する皮膚常在菌を用いた生菌製剤が注目されているが、皮膚微生物叢の大部分で宿主との相互作用は未解明である。本研究計画では健常皮膚膚の微生物叢の採取・単離培養とノトバイオート技術を組み合わせ、皮膚常在菌による宿主の免疫応答や代謝機能への影響をin vivoで評価する。
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研究実績の概要 |
皮膚常在菌は外界からの病原菌の侵入を防ぐバリアーとして機能することに加えて、宿主の免疫応答や代謝機能を調整することで恒常性の維持に重要な役割を担っている。しかしながら、個々の菌と宿主との相互関係は多くの検討の余地が残されている。これまでの研究では病原性のある菌種に着目されることが多く、健常な状態で宿主と共生的な皮膚常在菌との相互作用は特に未解明な点が多い。そこで本研究課題ではマウスやヒトから単離した皮膚常在菌を用いて、宿主と単離菌との相互作用を解明することに主眼を置いている。宿主ー菌の有益な相互関係の探索のために、無菌マウスに特定の菌を接種したノトバイオートマウスをビニールアイソレーター内で作成する手技を確立した。これまでにマウスの皮膚から単離した皮膚常在菌株を用いて野生型ノトバイオートマウスを作成し、菌株の皮膚上での代謝活性や、また宿主の皮膚に含まれるステロイドの定量する手法を確立した。野生型マウスから単離した皮膚常在菌を用いてノトバイオートマウス(モノコロナイズドマウス)を作成し、菌株毎の宿主皮膚への定着による宿主の遺伝子発現を解析するために、RNA-seq用の皮膚サンプルを採取してライブラリーを作成し、遺伝子発現解析を開始した。また皮膚における単離菌の定着による自然免疫およびリンパ球の誘導を明らかにするために、皮膚から免疫細胞を分離してFACS解析の手法を確立した。これらのデータを用いて、パスウェイ解析などから特定の菌株による皮膚での免疫応答など、遺伝子発現の変化を今後解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでにノトバイオートマウスの作成手技は確立しており、今後は臨床サンプルから単離した菌株を用いてマウス実験を施行する予定であった。しかし臨床サンプルからの単離株では全ゲノム解析に時間と費用を要すること、遺伝子改変技術の応用が困難であることから、これまでに取得して全ゲノム解読を終えている菌株を用いて今年度は実験を行なった。臨床株の取得、およびそれらの菌株に対して遺伝子改変のための手法の確立を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
無菌マウスへの単離株の投与方法、菌の回収と菌量の測定法は確立しているため、今後は臨床サンプル及び単離株の取得に注力していく。健常人の皮膚常在菌の単離に加えて、アトピー性皮膚炎患者やさまざまなマウスから採取した皮膚常在菌サンプルからの単離株の取得を目指す。またATCCなどから標準株を購入して使用することも検討する。さらに遺伝子改変技術を確立し、特定の遺伝子を欠損した株を用いてノトバイオートマウスを作成し、宿主皮膚の遺伝子発現を解析することを目指す。
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