研究課題/領域番号 |
21K08313
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 三重大学 (2022-2023) 兵庫医科大学 (2021) |
研究代表者 |
山西 清文 三重大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10182586)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 皮膚疾患 / インターロイキン33 / アラーミン / 角化細胞 / アレルゲン / 病態生理 |
研究開始時の研究の概要 |
IL-33を表皮特異的に発現する遺伝子改変マウスやトランスグルタミナーゼ1欠損マウスの表現型解析から、皮膚の損傷やストレス、形成不全に伴って誘導されるアラーミンが皮膚疾患の病態に深く関与すると推測される。しかし、皮膚におけるアラーミン活性化の分子システムの詳細は不明である。本研究では、アラーミンを高感度に測定する実験系を構築するとともに、アラーミンの活性化に伴って皮膚の細胞に誘導される遺伝子(群)とパスウエイを検出し、アラーミン活性化システムの特性とその影響を明らかにする。アラーミンシステムの活性化という新しい観点からのアプローチは、難治性皮膚疾患の新規治療法の開発や創薬に繋がると期待される。
|
研究実績の概要 |
警報因子(アラーミン)は外界からの侵襲や細胞の破壊に際して放出され、免疫反応を誘導する生体分子の総称である。IL-1ファミリーのサイトカインIL-33もアラーミンの一種で、バリア機能を担う上皮系細胞等の核内に局在し、細胞の破壊以外にもアレルギーを引き起こす物質の刺激などで細胞から遊離される。アトピー性皮膚炎(AD)の表皮ではIL-33の発現が増加しており、ADの皮膚は「アラーミンが過剰」な状態と考えられる。研究代表者らは、ヒトケラチン14(K14)をプロモーターとしてIL-33を表皮で過剰に産生する遺伝子改変マウス(IL-33Tg)を作成し、このマウスが免疫学的にADに酷似する皮膚炎を自然発症することを世界に先駆けて見いだした。表皮角化細胞の核に発現したIL-33がどのようにADの病態形成に至るのか、詳細は不明である。本研究では、まず、角化細胞からIL-33の遊離を発光によりモニターするin vitroの実験系を構築し、IL-33の遊離機構について検討を行った。その結果、IL-33はアルテルナリアやダニ抽出物によって細胞から遊出することが明らかになった。次に、IL-33Tgを用いて、皮膚炎が最も生じ易い顔面の流入リンパ節である頸部リンパ節からリンパ球を単離し、炎症の初期に活性化する自然リンパ球と、炎症の中期以降に活性化するヘルパーリンパ球が、どの時点で活性化し、且つサイトカイン産生を生じるに至るかについて、研究を実施している。この展開は、自然発症AD及び、外来抗原由来の皮膚炎に共通する警報因子の役割と免疫系活性化の全容を解明するために重要なアプローチと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL-33Tgに於ける自然リンパ球の活性化、Th細胞によるサイトカインの産生能の解析に時間を要したため。ただし現在は問題なく進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに、自然発症皮膚炎マウスモデルを利用して、顔面の皮膚炎の流入リンパ節である頸部リンパ節の解析から、皮膚炎発症の初期から自然リンパ球が著しく増加し、IL-5、IL-13を産生するType2自然リンパ球、IFN-γを産生するType1自然リンパ球が増加することを見いだした。さらに、これに続いてhelper Tリンパ球のなかで、IL-4、IL-13を産生するTh2リンパ球、TNF-α, IFN-γを産生するTh1リンパ球も増加することが判明した。今後は、より人の自然発症アトピー性皮膚炎モデルに近いIL-33Tgを用いて解析を行う予定である。
|