研究課題/領域番号 |
21K08319
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水芦 政人 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20400369)
|
研究分担者 |
山崎 研志 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40294798)
照井 仁 東北大学, 大学病院, 助教 (70965045)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 皮膚細菌叢 / 黄色ブドウ球菌 / 自己免疫疾患 / 全身性エリテマトーデス / 皮膚免疫 / IκBζ / SLE |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫疾患は各諸臓器に慢性炎症を引き起こす症候群であり、その発症機序は完全には明らかになっていない。近年、腸内細菌叢の変化が自己免疫疾患の発症に寄与し、さらにループス腎炎の活動性には腸内細菌の異常が関連していることが判明した。このことから細菌叢を含めた環境因子が自己免疫疾患の発症に大いに関わることが示唆される。本研究では、予備実験において皮膚細菌叢の変化により自己免疫疾患を発症する可能性を示唆する結果が得られたため、表皮特異的IκBζ遺伝子欠損マウスを利用することで新たな自己免疫疾患発症の機序に迫ると同時に、IκBζの制御あるいは下流のシグナルの制御を利用した治療薬の開発や臨床応用を探索する
|
研究成果の概要 |
自己免疫疾患の発症に腸内細菌叢が関与している可能性が示唆されているが、皮膚細菌叢の関与は不明であった。我々は先行研究において上皮細胞特異的IκBζ欠損マウスがシェーグレン症候群様皮膚炎を自然発症することを報告したが、同マウスの病変部皮膚において黄色ブドウ球菌の生着数が増加していることを今回新たに見出し,さらに、皮膚への長期的な黄色ブドウ球菌塗布により自己免疫炎症が増悪することが明らかとなった。その分子機序として、黄色ブドウ球菌が表皮細胞のアポトーシスを誘導し、好中球と樹状細胞の活性化を介してIL-23/IL-17軸のサイトカイン産生が亢進し、自己免疫炎症が惹起されることが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己免疫疾患に関わる細菌叢の研究では腸内細菌叢の関与を調べる研究がこれまでになされてきたが、皮膚細菌叢の関与に関して発症機序まで解析した研究は皆無であった。臨床研究からは皮膚細菌叢が乱れている代表的な炎症性疾患であるアトピー性皮膚炎の罹患者が自己免疫疾患の発症率が高いことが報告されている。今回の我々の研究結果からアトピー性皮膚炎や慢性皮膚疾患による炎症により皮膚細菌叢のバランスが崩れると自己免疫疾患を発症する可能性が示唆された。したがって、アトピー性皮膚炎や慢性皮膚疾患の罹患者は適切な治療を行い皮膚細菌叢のバランスを是正することが重要であることを示唆するため、その社会的意義は大きい。
|