研究課題/領域番号 |
21K08331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
橋本 隆 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (20129597)
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研究分担者 |
TEYE KWESI 久留米大学, 付置研究所, 助教 (30599303)
立石 千晴 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40597308)
石井 文人 久留米大学, 医学部, 准教授 (80330827)
鶴田 大輔 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90382043)
橋本 講司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90802702)
平田 央 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (00464644)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自己抗原 / 自己抗体 / 自己免疫水疱症 / ラミニンガンマ1 / p200 / ファージディスプレイ |
研究開始時の研究の概要 |
抗ラミニンγ1類天疱瘡は全身に水疱を生じる難治性表皮下自己免疫性水疱症で抗200kDaラミニンγ1自己抗体を示すが、その病原性は未だ不明で、皮膚のラミニンγ1のみに反応する機序も不明である。これらの疑問を解明するために、まずラミニンγ1ノックアウト細胞と自己抗体の反応性の比較およびリコンビナント蛋白を用いた患者血清の吸収実験を行う。次に皮膚と皮膚以外の組織の発現するラミニンγ1を比較する。また自己抗体の病原性の証明のため、患者B細胞から単離したDNAとファージディスプレイ法を用いて病原性抗ラミニンγ1抗体を取得しそれを各種疾患モデルに供する。これらの多角的研究により病因解明を目指す。
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研究実績の概要 |
自己免疫性水疱症は抗皮膚自己抗体によって皮膚・粘膜に水疱を形成する自己免疫性疾患で、現在多くの亜型が知られている。抗ラミニンγ1(p200)類天疱瘡はIgG抗p200蛋白/ラミニンγ1抗体を示す自己免疫性水疱症で、現在まで疾患モデルは確立されておらず、その病原性も解明されていない。本研究では、ラミニンγ1ノックアウトHaCaT細胞、ラミニンγ1リコンビナント蛋白、ファージディスプレイ法による病原性抗p200抗体作成、疾患モデル構築などの多角的研究により本疾患の病因解明を目指す。 当該年度中に大阪公立大学と久留米大学皮膚科で多くの自己免疫性水疱症症例の診断検査を施行し約20名の新たな抗ラミニンγ1類天疱瘡症例を渉猟した。また、p200蛋白/ラミニンγ1が、粘膜類天疱瘡のもう一つの自己抗原である可能性を検討し、英文論文として発表した。さらに、ラミニンγ1とラミニン332に対する自己抗原が共存する症例の存在も報告し、抗ラミニンγ1類天疱瘡が糖尿病治療薬であるDPP4阻害薬の薬疹として発症する可能性も発表した。上記の多くの検討から得られた抗ラミニンγ1類天疱瘡の情報を踏まえて新しい網羅的な自己免疫性水疱症の分類を提案し、和文および英文論文として発表した。 さらに、FOAM-LSCM蛍光抗体法を用いた研究により自己抗原の局在についてさらに詳細に検討し英文論文として発表した。また、CRISPR-Cas9法によりラミニンγ1をノックアウトした培養HaCaT細胞を用いた抗ラミニンγ1類天疱瘡の研究をOsaka City Med Jに論文発表した。 また、ラミニンα5が本疾患の新たな自己抗原の候補蛋白であることを見いだし論文発表した。さらに、ドイツのリューベック大学の研究者と、もう一つの新しい自己抗原の新規候補蛋白(未発表)について検討し、今後、各種の確認実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の施行中に、さらに多くの新たな抗ラミニンγ1類天疱瘡症例を見出し、その患者の皮膚、血清、DNAなどの生体試料を保存したことは、今後の本研究に有用である。また、これらの患者の臨床的・免疫学的・生化学的検討から、抗ラミニンγ1類天疱瘡の新たな臨床的特徴(粘膜類天疱瘡と薬剤性自己免疫性水疱症など)を見出し、p200蛋白として、ラミニンγ1の他に、二つの新たな自己抗原の候補蛋白(ラミニンα5ともう一つの未発表の新規抗原候補蛋白)を見出したことは、今後の本研究の推進に役立つ。また、今までの研究の過程で得られた、ラミニンγ1ノックアウト培養細胞実験の結果、多くの臨床的研究、自己抗原の解析、新しい網羅的な自己免疫性水疱症の分類などの多くの研究結果を、主に英文論文として発表した。 また、本研究のラミニンγ1ノックアウト培養細胞実験研究の副産物として、各種の培養細胞が、皮膚の成熟ラミニンγ1より小さい分子量のラミニンγ1を発現していることが判明した。そのため、今後、これらの培養細胞の産生する小型のラミニンγ1の性質、特にその糖鎖形成について詳細に検討し、なぜラミニンγ1が全身の臓器の基底膜に存在するのに患者自己抗体が皮膚のみに病変を生じるかという問いに回答したい。 この間に、より感度の高いラミニンγ1リコンビナント蛋白によるELISA法の確立を進め、そのため、自動ELISA洗浄装置を購入した。今後、このELISA法を、ラミニンα5ともう一つの新規抗原候補蛋白のELISA法の開発にも応用する。また、必要な実験器具と実験試料を購入して、ファージディスプレイ法によるモノクローナル抗体の作成の準備を進めた。しかしながら、研究分担者の橋本講司が今年度中に名古屋大学理学部から東京大学理学部に移動したため、ファージディスプレイ法研究に若干の遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も多数の自己免疫性水疱症症例の診断検査を継続し、新たな抗ラミニンγ1/p200類天疱瘡症例を渉猟し、その臨床情報と各種生体試料を保存を継続する。また、抗ラミニンγ1類天疱瘡自己抗体のより簡便で特異的な検出法として、ラミニンγ1リコンビナント蛋白を用いたELISA法の確立を進める。 前年度までの研究から、抗ラミニンγ1類天疱瘡の自己抗原として、ラミニンγ1の他に、ラミニンα5ともう一つの新規自己抗原の候補蛋白(未発表)が示唆されたため、今後、これらの新たな2蛋白についても、そのリコンビナント蛋白の作成とそれを用いた免疫ブロット法やELISA法の確立を進める。同時に、ラミニンα5ともう一つの新規自己抗原の候補蛋白について、皮膚基底膜部の接着における生理的な機能を各種生化学的・細胞生物学的手法を用いて検討する。さらに、これらの2蛋白の遺伝子異常による皮膚疾患は知られていないため、現在までその原因遺伝子が未知である先天性表皮水疱症患者の遺伝子検査を進め、これらの2蛋白の遺伝子異常による新たな皮膚疾患の同定を試みる。 疾患モデル実験に使用する大量の病原性抗ラミニンγ1抗体を得るため、抗ラミニンγ1類天疱瘡患者B細胞を用いたファージディスプレイ法によりラミニンγ1に対する病原性モノクローナル抗体作成の実験をさらに迅速に進める。さらに、ラミニンγ1の他に、ラミニンα5、また現在検討中の新しい自己抗原の候補蛋白についても、ファージディスプレイ法により病原性モノクローナル抗体を作成する予定である。 最終的に、作成した病原性ヒト型モノクローナル抗体を用いて、抗ラミニンγ1/p200類天疱瘡の疾患モデルとして、ex vivoヒト皮膚切片疾患モデルと新生マウス動物疾患モデルの手技を確立し、作成したヒト型モノクローナル抗体の病原性の確認実験を行う。
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