研究課題/領域番号 |
21K08337
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
今井 康友 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10529514)
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研究分担者 |
金澤 伸雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90343227)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Circulating ILC2 / Skin-Resident ILC2 / IL-33 / atopic dermatitis |
研究開始時の研究の概要 |
インターロイキン33(IL-33)は、量が多くなるとアレルギーを引き起こす物質です。皮膚でIL-33を過剰に産生する遺伝子改変マウス(IL33Tg)はアトピー性皮膚炎(AD)やアトピー性角結膜炎(AKC)を発症します。この研究では、マウスならびにヒトのIL-33に反応する細胞の遺伝子発現を細胞1個レベルで解析したり、AD/AKC患者さんの血清データや臨床症状のデータを解析したりすることで、実は多様な種類がある免疫細胞のうちどの細胞が大切か、また免疫細胞を活性化するサイトカインを抑制する治療によってどのような免疫反応が患者さんでおこるのか、解析します。
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研究実績の概要 |
インターロイキン33(IL-33)は2型サイトカイン産生を促す炎症性サイトカインである。上皮系組織でIL-33を過剰に産生する遺伝子改変マウス(IL33Tg)は2型自然 リンパ球(ILC2)依存性にアトピー性皮膚炎(AD)ならびにアトピー性角結膜炎(AKC)を自然発症する。しかし、ILC2はヘテロな細胞集団であり、どのILC2が病態に重要か、どのようにADやAKCの発症に関与するか、明らかではない。 シングルセルRNA-seq解析を用いて、ILC2の発現する遺伝子パターンを網羅的に解析したところ、IL33Tgマウスの皮膚炎やAKCにおいてILC2は2つの異なる発現パター ンが確認され、一方は、Th2サイトカインを多く産生する遺伝子パターンを示し、もう一方は、これらの遺伝子発現は弱く、MHCクラスII関連遺伝子パターンの発現が強く見られた。そこで、光変換マーキングされたILC2を用いて、皮膚ILC2が所属リンパ節で観察され、皮膚から遊走していることを確認した。皮膚からリンパ節に遊走するタイプのILC2に関してはMHCクラスII関連タンパクを発現していた。一方、上皮系組織に留まり続けたILC2は2型サイトカインであるIL-4,5,13を多く産生していた。これらの表面マーカーの相違と遺伝子発現パターンから、我々は、皮膚から所属リンパ節に遊走するILC2をCirculating ILC2、皮膚に留まるILC2をSkin-Resident ILC2と命名した。さらに、このマウスに生じるAKCにおいては、ILC2を消去するとAKCが消失することも明らかにできた。また、ILC2の産生する2型サイトカインがタクロリムスで抑制することも明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルセルRNA-seq解析は最新の技術であり、実験系の確立そのものが難しいと予想していたが、これまでの経験から、計画以上に、すみやかに実験系を確立することができた。そのため、研究実績の概要に記載した研究前半の内容は文献1にすでに掲載、後半は文献2で受理されるに至った。以上より順調 に進展していると言える。
文献1: Nakatani-Kusakabe M, Imai Y* et al, JID Innovations,1:100035, 2021 (* corresponding author) 文献2: Hosotani Y, Yasuda K, Nagai M, Yamanishi K, Kanazawa N, Gomi Fumi, Imai Y*. IL-33-induced keratoconjunctivitis is mediated by group 2 innate lymphoid cells in mice. Allergol Int,72(2): 324-331, 2023 (* corresponding author)
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今後の研究の推進方策 |
2型サイトカインを産生している活性化ILC2に 特異的な分子を検討していく。さらに、それら標的分子候補の発現抑制・欠損による2型サイトカイン産生の抑制、IL33Tgの表現型への影響を明らかにする。本 研究によって、ADにおけるILC2の役割やILC2特異的なマーカーが明らかになることで、ADなどアレルギー性疾患の新規治療法の開発や創薬に繋げることを目標とする。 なお、研究は遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)に従い、兵庫医科大学遺伝子組換え実験安全管理規程 に基づいた手続きを行い、兵庫医科大学遺伝子組換え安全委員会の承認を得た上で本研究を実施する。実験動物は、兵庫医科大学動物実験委員会による承認を得たうえで、動物福祉ならびに動物の愛護及び管理に関する条例(兵庫県)を遵守した上で実施する。
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