研究課題/領域番号 |
21K08350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中原 剛士 九州大学, 医学研究院, 教授 (40529848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / ERK経路 / MAPK経路 |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)は皮膚のバリア機能障害・type2炎症・かゆみが複雑に絡み合って病態が形成される。本症では様々な薬剤に対する治療効果は患者ごとに異なり、さらなる新規薬剤の開発が望まれる。我々はこれまで、ADの病態への関与における重要なシグナル経路として、MAPK経路が関与することを示すデータを得ている。そこで本研究の目的は、ADにおけるバリア機能障害・type2炎症・かゆみへの各MAPK経路(p38MAPK, ERK, JNK経路)の関与を解析し、臨床経過や病型との相関や、それらの阻害剤のADへの治療効果を明らかにすることで、治療基盤を確立することを目的とする。
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研究成果の概要 |
ヒト・マウスアトピー性皮膚炎において、MAPK経路の中でp-ERKのみ発現増強がみられ、ERK経路がADの病態に関与している可能性が示唆された。そこで、マウスダニ抗原塗布アトピー性皮膚炎モデルにERK阻害剤を外用したところ、様々な皮膚症状スコアが有意に改善し、病理学的検討では、表皮肥厚、炎症細胞浸潤の改善がみられた。さらに、TEWL測定ではバリア機能を改善させることが分かった。しかし、掻破行動の抑制はみられなかった。また、ERK阻害剤は①IL-4刺激による表皮細胞のフィラグリン発現減少を回復させ、②IL-4刺激による樹状細胞からのTARC産生を低下させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最近のアトピー性皮膚炎治療は、サイトカインをターゲットにした全身治療が数多く登場し、シグナル伝達経路としてはJAK-STAT経路が内服・外用治療のターゲットとなっている。しかし、まだまだ多くの患者さんの症状を消失させるには至っていない。今回、アトピー性皮膚炎の病態との関連が報告されているERK経路の実際の発現を確認し、vivoもしくはvitroの実験で、ERK阻害薬の外用がアトピー性皮膚炎の症状を軽減できる可能性が示唆された。このような新規作用機序の外用薬と既存の治療薬をうまく組み合わせることで、アトピー性皮膚炎のさらなる症状改善につながる可能性が考えられた。
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