研究課題/領域番号 |
21K08355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
菅谷 誠 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90334408)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | リンパ浮腫 / 皮膚硬化 / ブレオマイシン / 線維芽細胞 / マクロファージ / 皮膚硬化マウスモデル / 肉芽腫マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫は高齢者の下肢や婦人科系疾患術後に多く認められ、繰り返す感染症や皮膚の硬化、潰瘍形成、刺激性皮膚炎などが生じてQOLを著しく低下させる。また長期にわたるリンパ浮腫の後に、血管肉腫や有棘細胞癌などの悪性腫瘍が発生することが知られている。リンパ環流の障害は樹状細胞、T細胞などリンパ管の中を通る細胞にとって重要であるが、線維芽細胞やマクロファージといった組織に局在する細胞にも影響を及ぼすはずである。我々はリンパ浮腫を自然発症するマウスを用いて、線維芽細胞やマクロファージの機能がリンパ浮腫によってどのような影響を受けるかについて解析する。
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研究実績の概要 |
本年度は、カポジ肉腫ウイルスサイクリン遺伝子導入マウスを用いて皮膚線維化に関する実験を行った。まずブレオマイシンを4週間毎日皮下注射して皮膚硬化を起こす、マウス強皮症モデルを用いて研究した。昨年度の研究では、リンパ浮腫のあるカポジ肉腫ウイルスサイクリン遺伝子導入マウスでは、ブレオマイシンによる皮膚硬化が減弱している可能性が見いだされたが、実験を繰り返すことにより野生型マウスと差がないことが分かった。今年度の実験において、マウスのオスとメスでは前者のほうが皮膚でのコラーゲン量が多く、真皮も厚いことが分かったので、性差を考慮して再実験することにより差がなくなった。しかしmRNA発現を確認すると、リンパ浮腫があるとブレオマイシン刺激でCTGFやコラーゲン1a1の発現が上がるとともに、MMP13の発現も上昇していた。つまり見かけ上の線維の量は変化しなくても、線維の産生と溶解がともに亢進することが分かった。次に刺激をしていないナイーブな状態で比較したところ、病理像やコラーゲン量に差はないものの、mRNA発現レベルではTGF-βやコラーゲン1a1の発現がリンパ浮腫によって低下していることが分かった。リンパ浮腫マウス新生児の皮膚から初代培養した線維芽細胞では、コラーゲン1a1mRNAの発現が野生型マウス由来の線維芽細胞より低下しており、やはりリンパ浮腫が線維芽細胞のコラーゲン発現に影響を与えることが分かった。培養線維芽細胞を用いてRNAシーケンシング解析を行い、リンパ浮腫の影響を受ける遺伝子を網羅的に解析し、治療ターゲットとなる分子の解明に努める予定であるが、すでにRNAシーケンシング解析を始めたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ浮腫が皮膚硬化に与える影響を研究し、真皮の厚さやコラーゲン量には差がないものの、mRNAの発現では大きな差が生じることが判明した。また新生児マウス皮膚由来の線維芽細胞の培養に成功し、RNAシーケンシング解析はすでに開始している状態である。リンパ浮腫の線維芽細胞に与える影響について、ターゲット分子の探索が一歩進んでいる状態であり、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは今年度の実験のnを増やし、結果の確実性を担保する。培養線維芽細胞を用いてRNAシーケンシング解析を行い、リンパ浮腫の影響を受ける遺伝子を網羅的に解析し、治療ターゲットとなる分子の解明に努める予定であるが、現在はデータが外注業者から帰ってきて解析中である。今後は野生型マウスとリンパ浮腫マウスにおいて最も発現の異なる分子に着目し、培養細胞での発現状態や実際の皮膚における発現、ノックアウトした際の線維芽細胞の機能変化などを解析予定である。
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