研究課題/領域番号 |
21K08362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 健 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (70333606)
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研究分担者 |
小野澤 真弘 北海道大学, 大学病院, 講師 (70455632)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / BCR::ABL1 / チロシンキナーゼ阻害剤 / エピゲノム関連遺伝子 / BCR-ABL1 / FRET / 薬剤感受性 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは蛍光共鳴エネルギー移動の原理を応用し、慢性骨髄性白血病の分子標的治療におけるex vivoでの薬剤感受性試験を開発した。本手法を用いて診断時点での薬剤感受性試験によりDeep Molecular Response達成が予測出来ることを実証した。本研究では、TKI感受性試験により、診断時TKI低感受性と判定されMR4.5未達成となる臨床上の問題点について、1)薬剤低感受性症例を惹起する遺伝子変異の同定、2)遺伝子変異がもたらすmRNA発現プロファイルの網羅的解析による薬剤感受性を規定する標的分子の同定と機能解析、3)薬剤低感受性を解除、克服する薬剤のスクリーニング、を行う。
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研究実績の概要 |
慢性骨髄性白血病はチロシンキナーゼ阻害剤の有用性が確立した疾患である。チロシンキナーゼ阻害剤での治療により長期的な効果が期待出来ることが確立している。一方、十分な治療効果が得られない症例も存在し、これらの症例に対する治療法の開発が求められている。これまでにエピゲノム関連遺伝子の変異がTKIの治療成績に関連することが報告されており、本研究では臨床的に検出されるエピゲノム関連遺伝子の変異に焦点を当てて解析を進めている。 1)ASXL1, DNMT3A遺伝子をテトラサイクリン発現誘導システムのレトロウイルスベクターpRetroX-TetOneに組み込み、野生型、変異型のテトラサイクリン発現誘導ベクターを作成し、TKI感受性CML由来細胞株に導入し、テトラサイクリンで発現誘導可能な目的遺伝子を発現する安定形質転換細胞株を樹立した。2)これらの細胞株を用いて、ドキシサイクリン有無でのTKI感受性の解析を行ったところ変異型ASXL1または変異型DNMT3Aの誘導においてTKI感受性の低下が確認された。3)これらの細胞を用いて、導入遺伝子の発現誘導により発現変動が生じる遺伝子群をマイクロアレイを用いて薬剤感受性細胞と薬剤抵抗性細胞の遺伝子プロファイルを解析した。マイクロアレイの結果に基づき、薬剤耐性に関与する候補遺伝子を探索したところ、白血病幹細胞の維持に重要との報告がある細胞内代謝酵素Xを同定した。4)CML由来細胞株において、細胞内代謝酵素Xの発現誘導でTKI感受性は低下し、逆に遺伝子をCRISPR-Cas9でノックダウンした場合には、変異型ASXL1で誘導されるTKI抵抗性が解除された。5)細胞内代謝酵素Xの阻害剤をTKIと併用することで、CML由来白血病細胞株のTKIへの感受性が亢進され、併用効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
エピゲノム関連遺伝子変異の下流で作用する候補遺伝子を同定し、機能解析の実施によりTKI抵抗性に関与することが明らかにできた。また本候補遺伝子産物の阻害剤をTKIと併用することで、エピゲノム関連遺伝子変異で惹起されるTKI抵抗性を解除できることが明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、機能解析はほぼ終了している。今後は、実際の臨床検体において、エピゲノム関連遺伝子変異を有するCMLの臨床検体を用いてTKI感受性の状態を検証する。
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