研究課題
基盤研究(C)
現行の骨髄異形成症候群 (MDS)の予後予測システムには不十分な部分があり、MDS病態の分子基盤に基づく新規予後因子を含む、新たな予後予測システムの構築が課題となっている。本研究では、MDS幹・前駆細胞を用いて、ATAC-seqによるクロマチン特性解析とRNA-seq、遺伝子変異解析を行い、分子プロファイルを用いた機械学習により、臨床情報や予後の予測を行う。予測に高い寄与度を示す新規予後因子を抽出し、 in vitro、 in vivo機能解析を行うことで、MDS病態の包括的な分子基盤の解明と、新規予後予測システムの構築を行う。
MDSの造血幹細胞分画、および前駆細胞分画を用いたATAC-seq解析により、MDSにおける変動領域には正常な分化に関わる領域が多く含まれることが示された。またモチーフ解析により予後と強く相関する転写因子群が抽出されると共に、転写因子ネットワーク変化に基づく独立したMDSサブグループが存在することが明らかになった。これらの結果は同じ検体、分画で行った遺伝子発現解析では必ずしも明確には示されず、クロマチン特性に注目した本研究により始めて明らかになった結果と言える。
MDS幹細胞および前駆細胞分画を用いたクロマチン特性解析により、予後に関わる転写因子ネットワークを同定するとともに、転写因子ネットワーク変動に基づく新規のMDSサブグループが存在する事を明らかにした。今後、遺伝子変異との関わりや転写因子の標的遺伝子群などについてさらに詳細に検証を行うことで、新たなMDS病態の分子基盤を構築し、より適切な治療選択や新規治療法の開発に繋げる事が期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 6件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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