研究課題/領域番号 |
21K08369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
赤塚 美樹 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (70333391)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | HLA-DP / 同種抗体 / キメラ抗原受容体T細胞 / CAR-T細胞 / 遺伝子改変T細胞 / 同種造血幹細胞移植 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性造血器腫瘍に対する同種造血細胞移植は根治療法として確立されてきたが、再発が成績向上の足かせとなっている。移植片対腫瘍(GVT)効果の標的として白血病抗原、マイナー抗原および不適合HLA抗原があるが、このうちHLA-DP不適合はGVHDを増やすものの、GVT効果もあること、さらに非血縁者間移植の70%でDP不適合が認められるため、これを標的とする治療法の開発を計画した。申請者はDP不適合移植後患者より樹立した細胞傷害性T細胞から取得したT細胞受容体遺伝子改変T細胞を開発しており、さらに抗体をHLA-DP抗原受容体とした新たな細胞治療製剤としてCAR-T細胞を開発することを目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は同種造血細胞移植例の第一死因となっている移植後再発白血病の予防・治療法の開発である。HLA一致非血縁者間移植を受けた患者の7割にHLA-DP不適合が発生する。この不適合HLA-DP型分子に特異的な抗体を作成し、キメラ抗原受容体へ利用する。初年度はハイブリドーマ産生に用いるマウス骨髄腫細胞にCD64分子が発現するようにし、狙った抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞のみが蛍光で染色されるようにした。以上の条件設定に基づき、HLA-DPB1*09:01/DPA1*02:01(以下DPB9A2)ヘテロダイマーでのBalb/cマウス免疫を開始した。免疫条件として、(1) DPB9A2発現マウスNIH3T3細胞のみで3回免疫法、(2) DPB9A2発現細胞で2回+DPB9A2精製蛋白で1回の組み合わせ法、(3) DPB9A2精製蛋白で3回法の3方法を試みた。(1)ではマウス血清にはHLA-DP分子のみならず、同じクラスII型HLA分子であるHLA-DR、-DQに対する抗体も同等に産生された。(3)では抗体価が著しく低く、免疫が不十分と判明した。(2)ではHLA-DR, -DQへの反応も出るものの、よりHLA-DPへの反応が強くなったため、以後の実験は(2)の組み合わせ法を用いた。モデル実験と同様にCD64を強制発現できるようにしたハイブリドーマを作成して、免疫に用いたDPB9A2蛋白にPE、HLA-DR/DQミックス蛋白にAPCを標識しハイブリドーマの表現形質を解析したところ、44%が双方とも陰性、22%が双方とも陽性、32%がHLA-DR/DQに陽性、1.3%がDPに陽性となった。このDP陽性ハイブリドーマをソーティングして増殖させたところ4クローンが得られ、うち2つはHLA-DR/DQミックス蛋白よりもDPB9A2に対して有意な反応性を示すことが確認出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のようにCD64発現を強制発現できるハイブリドーマに分泌抗体を結させ、蛍光標識抗原で染色しフロサイトメトリーでHLA-DP特異的抗体を産生するハイブリドーマをフローソーティングするシステムが稼働することは証明できた。しかしながら以下の問題点があり、まだ良好なHLA-DPサブタイプ抗体を産生するハイブリドーマの取得には至っていない。 最初の問題点は免疫やスクリーニングに用いるHLA精製蛋白量である。昨年度末より哺乳類細胞を用いたHLA-DPはHLA-DPα鎖、β鎖ヘテロダイマーの産生を試みているが、安定的かつ十分量のヘテロダイマーを得られるに至っていない。ヘテロダイマーの形成を促すような既報のLeucinジッパー導入で蛋白が凝集する可能性を考えている。十分な免疫ができない結果、HLA-DPにより特異的な抗体価も十分上がらず、ソーティングで得られる細胞が少ないと考えられる。2点目の問題として、導入CD64遺伝子の安定性である。マウス骨髄腫細胞はほぼ100%がCD64を発現するが、ハイブリドーマになると半数以下の細胞しかCD64を発現出来なくなる。これは細胞融合尾段階で外来CD64遺伝子が不活化されるか、または遺伝子が導入された染色体全体が失われる可能性を示唆する。複数コピーのCD64遺伝子が導入出来れば解決出来る可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
HLA-DPヘテロダイマー合成についてはLeucinジッパーがCHO発現細胞と相性が良くないと考え、ジッパーを使うことなくα鎖およびβ鎖内にヘテロダイマー化を促進するアミノ酸置換を導入して、タンパク質発現量が増加するか検討している。また発現タンパク量を増やすためにベクター内にEPRE配列の導入、無血清培地への置換を検討している。更に精製の効率を上げるため、複数のタグと、タンパクの溶出を容易にさせるタンパク切断サイトの導入も検討している。 CD64遺伝子の不活化ないしは脱落の問題については、遺伝子導入法を断念して、二重特異性抗体のアイデアをもとにハイブリドーマ細胞表面に分泌された抗体をトラップするようなリンカータンパク質の設計を行った。上記と同様にCHO細胞で大量に産生させ、ハイブリドーマ培養液に添加することによりCD64と同様な効果が得られるかを検討する。双方のアプローチともすでに遺伝子合成や発現の適正化を進めつつある。 最後にHLA-DRや-DQへの交差反応するような抗体の産生を減らすために、HLA-DR, -DQ, -DPのα2、β2ドメイン部分をマウスのMHCクラスIIであるH2-E鎖のそれで置換することでよりHLA-DPに特異的な抗体が産生できるように改変を加えて検討する。
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