研究課題/領域番号 |
21K08377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 浩 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90183178)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 血友病 / 第VIII因子 / 半減期 / クリアランス / 薬物動態試験 / 血友病A / フォン・ヴィレブランド因子 / 遺伝子 / レセプター |
研究開始時の研究の概要 |
血友病Aにおける定期補充療法では頻回の静脈注射を減らすことが課題となっている。 近年、各種分子修飾を施した半減期延長型の遺伝子組換え第VIII因子(FVIII)製剤が開発されたが、その半減期延長効果は限定的である。 本研究では、FVIIIの半減期に影響するフォン・ヴィレブランド因子(VWF)のクリアランスがどのような要因によって規定されるのかについて、特にVWFおよびVWFのクリアランスに関わるレセプター遺伝子の詳細な検討から明らかにし、より優れた薬物動態をもつ新規血友病A治療薬の開発に応用することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、血液凝固第VIII因子(FVIII)の半減期に影響するフォン・ヴィレブランド因子(VWF)のクリアランスが、どのような遺伝的要因によって規定されるのかについて、VWF、およびそのクリアランスに関わるレセプター遺伝子の詳細な検討から明らかとし、より優れた薬物動態をもつ新規血友病A治療薬の開発に応用することを目指す。 本研究に対する同意が取得できた38名を対象に、診療録に記載されている薬物動態試験結果を利用したWAPPS-Hemo解析から、半減期が非常に長い3名と、非常に短い1名を見出すことに成功した。 2023年には、長い半減期を持つ3名について、10タンパク質(VWF、LRP1、LDLR、ASGR2、MRC1、SIGLEC5、CLEC4M、STAB2、SCARA5、HSPG2)の遺伝子を網羅的に解析するために作成したパネルを用い、遺伝子解析を施行した。その結果、VWF遺伝子では、Glnの場合にFVIIIとの結合が弱いといわれているp.Gln852Argが、患者1と2ではGln/Arg、患者3ではArg/Argであった。CLEC4M遺伝子では、Gの場合にFVIIIの半減期が短くなるといわれているrs868875(c.784+73A>G)が、患者1、2、3でそれぞれG/G、A/G、A/Aであった。 これまで、すでにFVIIIの半減期との関係が示唆されているバリアントを中心に解析したが、患者数が限られており、また検出されるバリアントが非常に多く、現時点でFVIIIの半減期を特徴付けられる遺伝的要因を明確にすることはできておらず、多角的な解析を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の医学倫理委員会での審査が倫理指針の変更時に重なってしまったこともあり、2021年6月1日に申請書を提出したが、最終的に承認が得られたのは2022年1月21日となってしまった。 また、WAPPS-Hemo使用に関し、研究計画時には予定していなかった病院倫理委員会の承認を得るべきであるとの指導を医学倫理委員会から受け、この承認も得たため、予想外の時間を費やすことになってしまった。 またさらに、本研究の目的達成のためにはできるだけ多くの患者を解析することが有利であることから、FVIIIの半減期を確認できる症例を増やせるように考慮した。しかし、患者が来院するタイミングは定まっておらず、症例数の確保に時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
①半減期の長い患者の解析で得られた遺伝子解析結果について詳細な検討を進める。 ②半減期の短い患者のパネル解析を施行する。 ③一般的な日本人集団での遺伝子情報を東北メディカル・メガバンク機構で解析・公開されているゲノム情報(jMorp)から対象遺伝子の情報を収集し参照できるように準備する。 ④本研究の最終目的は、現在市販されている半減期延長型第VIII因子製剤より半減期の長い血友病A治療製剤を開発することであるため、これに有益な情報を収集する。
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