研究課題/領域番号 |
21K08395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長町 安希子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20585153)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / SAMD9/9L症候群 / MDS / Samd9/9L症候群 / Samd9/9L |
研究開始時の研究の概要 |
7q欠失型の骨髄異形成症候群(MDS)の責任遺伝子であるSamd9とSamd9L(Samd9/9L)は、機能獲得型の変異により、非常に稀な幼児の7q欠失型MDSが多発する「Samd9/9L症候群」を引き起こす。本研究では、樹立したSamd9/9L症候群モデルマウスとSamd9L欠損マウスの造血幹細胞や造血微小環境の特性について、サイトカイン代謝能の視点から検証し、Samd9/9L変異体の造血に与える影響とその分子メカニズムを明らかにする。さらに、ヒト様のSamd9/9Lを有する新規モデルマウスの作製に着手する。
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研究実績の概要 |
7q欠失MDSの責任遺伝子のひとつであるSAMD9とその相同遺伝子SAMD9L(以下、SAMD9/9L)は、機能獲得型の変異により造血不全を主徴とする「SAMD9/9L症候群」を引き起こす。疾患の発症機序を明らかにするため、樹立したSamd9L遺伝子欠損マウスと、SAMD9/9L症候群のモデルマウスであるSamd9L D764N変異マウスの造血幹細胞の機能を検証した。その結果、Samd9L変異マウス由来のLT-LSK細胞は、正常マウス・Samd9L欠損マウス由来の細胞と比較してBrdU陽性細胞の割合が優位に増加しており、細胞周期の亢進が認められた。続いて、マウスから単離したLT-LSK細胞を低酸素・低サイトカインの未分化能を維持しやすい培養条件で短期培養を行ったところ、Samd9L変異細胞はCD34-の未分化な細胞が著しく減少し、またEdU陽性細胞の増加が見られたことから、Samd9L変異体を発現する造血幹細胞は分化しやすい傾向にあることが判明した。そこで、LT-LSK細胞のRNA-seq解析を行ったところ、Samd9L変異細胞ではp57の発現低下やCdk6の発現上昇に加えて、TGβシグナルの下流因子であるHoxB5やNeo1などの、幹細胞性の維持因子の著減が認められた。さらに、マウスの造血前駆細胞から樹立したiLS細胞において、Samd9L変異iLS細胞でTGFβの濃度依存的な感受性の異常が認められた。TGFβは造血幹細胞の維持に必須の因子であることから、造血幹細胞におけるTGFβの感受性異常が細胞周期の亢進や増殖能の低下を引き起こし、造血不全の原因となっていると推測された。
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