研究課題/領域番号 |
21K08396
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小島 研介 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (10332793)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | p53 / MYC / 急性骨髄性白血病 / 造血器腫瘍 / 悪性リンパ腫 / 分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性リンパ腫を含む造血器腫瘍では細胞死誘導性の p53シグナルが保たれており、p53の再活性化を惹起する免疫化学療法や放射線治療に比較的感受性が高い。最近、リンパ腫特異的な異常シグナルを標的にした、理論的には p53非依存的に薬効を示す分子標的治療が利用されるようになったが、実地診療ではしばしば p53異常クローンの拡大が認められる。本研究では、長期の分子標的治療によって、p53シグナル修飾と機能的ヒエラルキー変化による分子標的治療耐性機序が形成されるが、適切な分子標的治療との併用や周期的治療などの工夫によって、薬剤耐性は打破できるという仮説を検証する。
|
研究実績の概要 |
造血器腫瘍は免疫化学療法や放射線治療に感受性が高いが、これら治療は腫瘍細胞のp53の再活性化と、その下流の細胞死誘導性p53シグナルの活性化を惹起する。造血器腫瘍ではp53シグナルの活性化が細胞死をきたしやすく、通常抗がん剤や放射線治療感受性が高い。このようにp53シグナルは造血器腫瘍治療のキーとなるシグナルではあるが、それのみでは、少なくとも一部の患者では治癒をもたらすことができないことも明らかになっている。最近、造血器腫瘍では異常シグナルを標的にした p53非依存的に薬効を示す分子標的治療が利用されるようになっている。それにも関わらず、実地診療では耐性化とともに p53異常クローンの拡大が認められる。本研究では、分子標的治療によるp53シグナルとの干渉、そしてp53シグナル修飾と機能的ヒエラルキー変化による分子標的治療耐性機序を解明することを目指した研究において、BCL2阻害耐性の新規耐性因子としてのMYCシグナル異常と、そして p53活性化を惹起する分子標的薬が p53シグナル依存性にMYCシグナルを抑制することを見いだした。研究成果は Sience Advancesに報告した。 Nishida Y, Ishizawa J, Ayoub E, Montoya RH, Ostermann LB, Muftuoglu M, Ruvolo VR, Patsilevas T, Scruggs DA, Khazaei S, Mak PY, Tao W, Carter BZ, Boettcher S, Ebert BL, Daver NG, Konopleva M, Seki T, Kojima K, Andreeff M*. Enhanced TP53 reactivation disrupts MYC transcriptional program and overcomes venetoclax resistance in acute myeloid leukemias. Sci Adv. 2023;9(48):eadh1436. 現在、MDM2-p73/p53シグナルを含めた研究をおこなっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な研究成果は Sience Advancesに報告した。 Nishida Y, Ishizawa J, Ayoub E, Montoya RH, Ostermann LB, Muftuoglu M, Ruvolo VR, Patsilevas T, Scruggs DA, Khazaei S, Mak PY, Tao W, Carter BZ, Boettcher S, Ebert BL, Daver NG, Konopleva M, Seki T, Kojima K, Andreeff M*. Enhanced TP53 reactivation disrupts MYC transcriptional program and overcomes venetoclax resistance in acute myeloid leukemias. Sci Adv. 2023;9(48):eadh1436. 当該科研費によって他に幾つかの英文報告もなしており、最近にいたり予定通りに進行した。
|
今後の研究の推進方策 |
p53シグナル依存性の細胞死誘導は、p21発現集団では低下し耐性化をきたしうるが、このポピュレーションはBCL2阻害に感受性が高いことを見いだしており、治療学上の相補性を有することがわかった。p53のマスターレギュレーターであるMDM2に関して、MDM2-p53結合の阻害は臨床試験を含めてp53ダブルヒット変異では無効であったが、MDM2の分解促進は部分的にp73シグナルを介した腫瘍細胞死を誘導することが報告されており、今後MDM2-p73/p53シグナルを含めた研究を進めてゆく。
|