研究課題
基盤研究(C)
本邦において年間5000から6000人が新規に発症するMPNは、比較的高率にAMLに転化することが知られており、転化を認めた場合の予後は不良である。p53抑制因子であるMDMXは急性転化をきたした症例で高頻度に遺伝子増幅がみられることが報告されている。申請者らは、白血病発症においてMDMXのp53依存性・非依存性機能が重要な役割を果たしていることを、Mdmxトランスジェニックマウスモデルを用いて明らかにしてきた。このマウスをMPNモデルマウスと交配し、MPNからAMLへと進行する急性転化モデルを樹立する。さらに、MDMX阻害剤を用いて、急性転化を阻止する治療モデルを確立する。
骨髄増殖性腫瘍のドライバー変異を持つマウスとポリコーム制御因子欠失マウスを交配し、骨髄増殖性腫瘍から急性骨髄性白血病に緩徐に進行するマウスモデルを確立した。これらのマウスを解析し、両遺伝子異常の共存で造血幹細胞分画におけるポリコーム標的遺伝子の発現異常が増強されることがわかった。一方で、両遺伝子の異常を持つマウスの表現型は生後10ヶ月程度までは単独の遺伝子異常を持つマウスとほとんど変わらないにも関わらず、生後10-18ヶ月でほとんどのマウスが急性骨髄性白血病もしくは骨髄増殖性腫瘍の重症化で死亡する(単独の遺伝子異常では24ヶ月近く生存する)。現在、AML発症マウスの解析を進めている。
骨髄増殖性腫瘍の治療は進歩していますが、白血病への進行を阻止する方法は確立していません。造血細胞にどのような変化が起きると白血病に進行するのかを明らかにするためには、患者さんの骨髄を頻回に採取して、白血病に進行した患者さんと進行しなかった患者さんの違いを調べるのが一番ですが、それでは患者さんの負担が大きすぎます。今回の研究成果から、マウスを用いて病態解明を進めることが期待できます。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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