研究課題/領域番号 |
21K08408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
池亀 和博 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20372609)
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研究分担者 |
藤原 弘 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座教授 (20398291)
福永 景子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60649185)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | HLA不適合造血細胞移植 / HLA拘束性 / HLA不適合移植 / HLA拘束性T細胞 / HLA半合致移植 / 非共有HLA / 胸腺 / サイトメガロウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
HLA半合致移植後の生体防御は、患者とドナーが共有するHLA拘束性T細胞が担っている。本研究では、HLA-A*24:02を患者とドナーの両方がもつ場合、ドナーだけがもつ場合、患者だけがもつ場合について、HLA-A*24:02拘束性のCMV特異的テトラマーを用いて、反応するT細胞を検出する。さらに強制刺激によって非共有HLA拘束性T細胞を作成してみる。特に患者だけが持つ非共有HLA拘束性T細胞の存在は「ドナーT細胞が自分の発現するHLAに関わらず、移植後に患者胸腺で提示されたHLA拘束性になる」、言い換えれば「患者胸腺は他人のT細胞も“教育”している」という、ヒトで初めての証拠となる。
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研究実績の概要 |
HLA不適合造血幹細胞移植後のドナーT細胞は、3つのHLAハプロタイプ、すなわち、患者とドナーが共有するもの(共有HLA)、ドナーだけが持つもの(ドナー特異的HLA)、患者だけが持つもの(宿主特異的HLA)のいずれかに拘束性となる。本研究では宿主特異的HLAを含め、それぞれのHLA拘束性T細胞の存在を調べた。HLA-A24またはHLA-A2を有する患者またはドナーの40症例64サンプルを対象に、HLA-A*24:02およびA*02:01拘束性CMVテトラマーを用いて、個々のHLA拘束性T細胞を検出した。移植後90日目では半数以上、900日目以降では全例で共有HLA拘束性T細胞の存在が認められた。宿主特異的HLA制限T細胞はどの患者にも検出されず、ドナー特異的HLA制限T細胞は90日目以降の患者の半数に検出された。移植タイプの比較では、共有HLA拘束性T細胞はHLA半合致移植で50%、両ハプロ不適合移植で75%、夫婦間移植で67%が陽性であった。ドナー特異的HLA拘束性T細胞は、ハプロ移植で57%、両ハプロ不適合移植で67%が陽性であった(夫婦間移植ではテトラマー検査に適当なHLA組み合わせがなかった)。これに対し、宿主固有HLA拘束性T細胞はいずれのサンプルでも検出されなかった。共有HLA拘束性T細胞の存在は、HLA半合致移植後の宿主防御を説明し、ドナー特異的HLA拘束性T細胞の存在は、血球向性ウイルスに対する宿主防御を説明するかもしれない。しかし、この研究では宿主特異的HLA拘束性T細胞が検出されなかったため、上皮向性ウイルスに対する宿主防御については説明し得ない。にもかかわらず、HLAがすべて異なるドナーから移植した一例では、上皮向性ウイルスであるCOVID19が治癒した経験があり、これを症例提示した。現在、論文を投稿し、リバイス中である。
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