研究課題/領域番号 |
21K08416
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
仁田 英里子 神戸大学, 医学研究科, 助教 (80401123)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | クロマチンリモデリング / 造血幹細胞 / 免疫応答 / 構造解析 / クロマチン / エピジェネティクス / クロマチンリモデリング因子 |
研究開始時の研究の概要 |
造血幹細胞におけるクロマチン動態によるエピジェネティクス統制と遺伝子発現の制御機構を明らかにするため、まずは直接的にヒストン修飾などを制御するクロマチンリモデリング因子による造血幹細胞の制御を解明する。特に正常造血幹細胞と白血病幹細胞を制御する機構の相違に注目し、直接的に統制されるヒストン修飾の詳細と、それがどのように造血幹細胞を維持するのか、生物学的な制御機構を明らかにする。正常細胞と腫瘍細胞の分子制御の違いを明らかにすることが臨床応用に繋がるのみならず、基本的なエピジェネティクス機構を上流から束ねるクロマチン動態を理解することは、 普遍的な細胞活動の機構を解き明かす重要な命題である。
|
研究実績の概要 |
老齢BRMノックアウトマウスをドナーとした骨髄移植にて、若齢マウスでは連続移植で初めて見られた長期再構築能の低下が、老齢BRMノックアウトマウスでは一次移植から早期に観察されることが明らかとなり、BRMは特に加齢に伴う造血幹細胞の機能維持に貢献していることが示唆された。 BRMが造血幹細胞を維持するメカニズムとして、微小環境ニッチに注目した。胸骨ホールマウント免疫染色を用いて5-FU投与などによる骨髄損傷後の類洞構造の回復を観察し、BRMが微小環境ニッチを制御して造血幹細胞を維持する可能性を明らかにした。さらにBRMノックアウトマウスの骨髄ニッチは老齢マウスに類似していることを突き止め、BRMは骨髄微小環境の老化に関与する可能性を示唆した。現在その分子メカニズム等について詳細を解析しているところである。 造血幹細胞を用いて行ったRNA シークエンスの結果、BRMは免疫応答に関わる遺伝子群の発現に関与する可能性が示唆されたため、BRMノックアウトマウスに細菌エンドトキシンであるLPSを投与して免疫応答を観察し、BRMが免疫細胞の特定の分化に関わることを明らかにした。感染に応答してBRMが免疫細胞への分化を制御する分子機構を解明するため、さらにRNAシーケンスおよびATACシーケンスを行って解析を進めている。 また、クロマチンリモデリング複合体の基本的なサブユニットについてin vitroで再構成を行い、得られたタンパク質を合わせて複合体を形成させ、電子顕微鏡による観察を開始した。正しいクロマチンリモデリング複合体と思われる像がいくつか得られたが、今後単粒子解析にデータを供するには均一なサンプルを大量に得る必要があるため、タンパク質発現系の改良を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は予期していなかった免疫応答に関する興味深い知見が得られ、それについての解析が進んだため。
|
今後の研究の推進方策 |
野生型およびBRMノックアウトマウスにLPSを投与し、特に脾臓・リンパ節のほか骨髄・胸腺などにおける免疫応答の観察をさらに進める。異常が認められた注目する免疫細胞について、フローサイトメトリーによる評価とソーティングによる分取、また骨髄細胞の培養による免疫細胞への分化系の樹立を試みており、それらによってBRMが免疫応答を司るメカニズムを明らかにする。BRMが制御する免疫細胞への分化基点を同定し、その前後の細胞を分取してRNAシーケンスおよびATACシーケンスを行ってその分子機構の詳細を明らかにする。 また、クロマチンリモデリング複合体の基本的なサブユニットについてin vitroで再構成を行い、得られたタンパク質を合わせて複合体を形成させ、電子顕微鏡による観察を開始した。正しいクロマチンリモデリング複合体と思われる像がいくつか得られたが、今後単粒子解析にデータを供するには均一なサンプルを大量に得る必要があるため、タンパク質発現系の改良を行っている。
|