研究課題/領域番号 |
21K08418
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沼田 晃彦 九州大学, 大学病院, 助教 (60423563)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | MYC / TIP60 / 急性骨髄性白血病 / 悪性リンパ腫 / リジンアセチル化酵素 / 造血器悪性腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病や、悪性リンパ腫では、腫瘍細胞での転写因子であるMYCの発現レベルが予後と相関する。近年、造血幹細胞でMYCの主要なコアクチベーターとして、リジンアセチル化酵素 TIP60 が 同定された。そこで、MYCを高発現する造血器腫瘍において、TIP60が治療標的となりうるかを検証する。まず、MYCとTIP60のゲノム上の位置関係や標的遺伝子を、次世代シーケンスを用いて同定し、TIP60を標的とすること意義を証明する基礎的データを集積する。次に、悪性リンパ腫、急性骨髄性白血病モデルマウスを用い、TIP60遺伝子ノックアウトやTIP60阻害剤の臨床効果を検討する。
|
研究実績の概要 |
a)白血病細胞でのMYCとTIP60の局在をChIPシーケンスにより明らかになった。正常マウス造血細胞と同様に、TIP60とMYCの共在を確かめることができたが、正常造血細胞との違いも明らかになった。TIP60が白血病を誘発するヒストン修飾酵素(MLL-AF9, MLL-AF4)との共在も明らかなり、正常造血では重要であるMYC-TIP60以外にも、MLLの共因子としてのTIP60の役割も示唆された。現在、ヒト白血病細胞株を用いて、MLL融合タンパクとTIP60が結合するか、免疫沈降法を用いて検証を行なっている。b) TIP60欠損誘導による、白血病治療効果を、マウスモデルを用いて検証した。a)でTIP60のある特定の白血病サブタイプ(MLL関連)発症メカニズムへの関与が示唆されたが、TIP60誘導欠損では有意な治療効果は観察することができず(生存期間の延長)、これがテクニカルな問題なのか、TIP60の重要度が低いためなのかの検証を進めている。c)悪性リンパ腫マウスモデル Tip60flox/flox; Rosa26-CreERT2; Eu-mycマウスコロニーの樹立には至っていない。d) TIP60阻害剤による、ヒト悪性リンパ腫・急性白血病マウスの治療:TIP60遺伝子欠損による治療効果が確認できた後に、マウスモデルを用いて検証予定であるが、現在はリジンアセチル化阻害活性の高い化合物をライブラリーから選択、検証中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
a)研究計画 b) 白血病モデルマウスでTIP60遺伝子欠損による治療効果をみるために、レトロウィルスを用いたMLL関連白血病モデルでは病気の進行が早く、正確に評価できない可能性をがあり、別のサブタイプの白血病マウスモデルを用いることも検討している。c) TIP60欠損を誘導できる悪性リンパ腫モデルマウスの樹立に時間を要している。u-mycマウスコロニーの維持、交配や、動物施設の環境問題もあり、予定より進行が遅れている。e)でのTIP60欠損誘導できるMEF細胞のSV40による不死化が成功していない。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通りに推進していく。研究計画 b) レトロウィルスを用いたMLL白血病マウスモデル以外のマウスモデル(トランスジェニックマウスも含む)、Tip60欠損 (Rosa26-Cre-ERT2)を交配させ、TIP60の必要度の高い白血病モデル、サブタイプを探索していく。c) TIP60欠損を誘導できる悪性リンパ腫モデルマウスの樹立を効率的に進めていく。e)でのTIP60欠損誘導できるMEF細胞のSV40による不死化を成功させ、アセチローム解析へ進展させる。
|