研究課題
基盤研究(C)
MLL融合がん遺伝子を原因とした白血病は、成人に比べ胎児・新生児の生後一年未満の患者で非常に高い頻度で見られることの明確な理由は数十年いまだ不明なままである。小児と成人で発症頻度に10倍以上の違いがあり、非常に大きな臨床的な違いがあるため、申請者は重要な意味があると考えた。そこで、トランスクリプトーム・エピゲノムを組み合わせた解析を用いて、白血病発症依存性を決定する因子の探索を行う。
がんのドライバー遺伝子変異は、どの細胞でも常に発がん性を有するのではなく、細胞起源などに依存した形質転換受容細胞でのみ“がん”を起こす。MLL融合遺伝子による急性白血病は、成人では、抗がん剤による二次性白血病が主で、De novo白血病は比較的まれであるのに対して、乳幼児では、急性白血病の50%以上と高頻度に認める。本研究では、この年齢・状況依存的なMLL-AF9白血病発症の分子基盤を、統合的オミックス解析によって検証する。昨年度の研究成果から、MLL-AF9を発達時期依存的に誘導する為に、Rosa-LSL-MLL-AF9-IRES-GFPノックインマウスを作製した。樹立したマウスを用いて、加齢で白血病発症が抑制されること、および骨髄移植ストレス(細胞分裂・炎症ストレス)で誘導される幹細胞内因性因子がMLL-AF9による白血病発症を抑制されることを明らかにした。トランスクリプトーム解析の結果からストレス応答が活性化している状態では、MLL-AF9の標的タンパク質の発現が減少することが明らかになった。エピゲノムレベルで変化が起こっているかを明らかにするため、MLL-AF9の主要な結合タンパク質であるDOT1Lの標的であるH3K79meのChiP-seq解析を行った。比較対象として胎児期にMLL-AF9を誘導した場合と成人期にMLL-AF9を誘導したマウスを準備して、造血幹前駆細胞を回収し、解析を行った。その結果胎児期にMLL-AF9を誘導したほうが、標的遺伝子HOX遺伝子cluster領域におけるH3K79meのレベルが上昇することが明らかになった。今後これらの成果を論文として国際紙に投稿予定である。
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