研究課題/領域番号 |
21K08424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
楊 インジェ 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90808643)
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研究分担者 |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50186798)
今井 美沙 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (50709003)
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨髄増殖性腫瘍 / triple-negative / 造血幹細胞 / トロンボポエチン受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、造血幹細胞に体細胞変異が生じることで引き起こされる造血器腫瘍である。MPNのドライバー遺伝子変異として、造血幹細胞の維持や巨核球の増殖に必要なトロンボポエチン受容体MPLを恒常的に活性化する変異が複数同定されている。しかしこれらの遺伝子変異の検出されない triple-negative(TN)症例が存在し、診断に難渋することから、発症メカニズムの解明と診断手法の開発が求められている。本研究では、TN-MPNの迅速な診断や治療法の開発を目指し、MPLの自律的な活性化と、それに続くTN-MPN発症の分子メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、加齢により造血幹・前駆細胞に体細胞変異が生じ、血球の異常増加や骨髄の線維化を呈する造血器腫瘍である。MPN患者の大部分で、MPN発症を引き起こすドライバー遺伝子変異が見出されるが、変異が検出されないtriple-negative(TN)症例が存在する。TN症例ではドライバー遺伝子変異が見出されず、診断に難渋するため、TN-MPN症例の診断に有効な新たなマーカーの同定と、発症メカニズムの解明が求められている。これまでに研究代表者らは、大部分のTN-MPN症例では体細胞変異が見いだされないこと、TN-MPN患者の造血幹細胞が自律的に巨核球に分化すること、培養細胞において遺伝子変異を伴わずとも、巨核球造血を促すMPLシグナル伝達経路の自律的な活性化が生じることを明らかにしている。本年度は、昨年度行ったRNA-seq解析結果をもとに、TPO非依存性に増殖するBa/F3-MPL-FR細胞のRNA、または、TN-MPN患者の血小板RNAにおいて、発現が増加した複数の候補遺伝子の機能評価を行った。これらの遺伝子は、サイトカイン受容体との相互作用が報告されている分子や細胞膜周辺で機能している分子をコードする遺伝子である。この結果、発現抑制によりBa/F3-MPL-FR細胞増殖が強く抑制される遺伝子を見出したが、これらの遺伝子の発現抑制は、MPL下流シグナル分子の一つであるSTAT5の活性化に関与していなかった。よって、今回解析した候補遺伝子はBa/F3-MPL-FR細胞のMPL活性化による自律的増殖に関与している可能性は低いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Ba/F3-MPL-FR細胞とTN-MPN患者の血小板において、RNA-seq解析によって見出した発現が増加していた遺伝子が、MPL活性化には関与していないことを明らかにしたことから、MPLの自律的な活性化メカニズムの解明は、順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Ba/F3-MPL-FR細胞に、CRISPR-Cas9ライブラリーによるゲノムワイドな遺伝子ノックアウトスクリーニングを行い、MPLの自律性活性化に必須な遺伝子の候補を同定する。さらにこの候補遺伝子を再度Ba/F3-MPL-FR細胞で発現抑制した時に、MPL下流シグナルの活性化が減弱し、細胞増殖が抑制されることを示す。
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