研究課題/領域番号 |
21K08430
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
木村 文彦 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (50536216)
|
研究分担者 |
大澤 有紀子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (00816928)
小林 真一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 講師 (50724655)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 骨髄線維症 / 線維細胞 / 多発性骨髄腫 / 悪性リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
原発性骨髄線維症では単球由来の線維細胞が増加し線維化に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。それ以外の血液がんにおいても骨髄線維化の合併は予後不良の要因となっているが、線維化を引き起こす具体的な機序は不明で、その対処法も確立していない。本研究の目的は単球由来の線維細胞に着目して悪性リンパ腫や多発性骨髄腫における骨髄線維化誘導機構を解明することにある。2次性骨髄線維症を促進する具体的な治療標的を同定し、その機構を断ち切ることで、それぞれの疾患の治療と組み合わせて骨髄線維化併発例の予後を改善することが可能になると考えられる。
|
研究実績の概要 |
原発性骨髄線維症を含む骨髄増殖性腫瘍においては骨髄の線維化機序について様々な解析が加えられてきた。一方、骨髄増殖性腫瘍以外の造血器悪性腫瘍においても骨髄の線維化を合併することがあるが、その機序はよくわかっていない。これら合併した骨髄の線維化は化学療法による骨髄抑制の増悪などで予後に悪影響を与えると考えられている。 fibrocyteはⅠ型・Ⅲ型コラーゲンのような間質細胞マーカーとCD34などの造血細胞マーカーの両方を持った紡錘形の単球由来細胞で、種々の臓器の線維化病態に関与するとされる。申請者らは骨髄増殖性腫瘍の骨髄線維化におけるfibrocyteの役割について解析を進める中で、他の造血器悪性腫瘍の2次性骨髄線維化でもfibrocyte前駆細胞が末梢血中で増加していることを見出してきた。 本研究では、造血器腫瘍の中で悪性リンパ腫や多発性骨髄腫のようなリンパ系腫瘍を対象として、fibrocyteを中心に骨髄線維化機序の解析を行っている。まず、骨髄腫細胞株を収集し、対数増殖期における培養上清の保存を行った。ヒト末梢血中から培養して分化するfibrocyteの割合を評価するため、形態とフローサイトメトリーの2種類の定量化方法を確立した。スクリーニングの結果、fibrocyte誘導能を持つ細胞株2株、ほとんど持たない細胞株1株を同定した。同時に、症例を集積して末梢血単核球と血清の保存を行い、細胞株で得られた知見を臨床検体で確認できるよう準備をしている。 リンパ系腫瘍におけるfibrocyteを介した骨髄線維化機序を明らかにすることで、従来の治療に併用可能な骨髄線維化をターゲットにした治療開発につながることが期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一般的に骨髄腫の研究に用いられているヒト由来細胞株7株(1株保有、7株購入)について、各細胞株の増殖曲線を求め、5x105cells/mlで24時間培養後も対数増殖期にあることを確認し、この条件の培養上清を回収、凍結保存した。fibrocyteの定量法として、CD45+ CD14-, CD319+の分画にfibrocyteが含まれることを確認し、培養開始後のfibrocyte割合をフローサイトメトリーで経時的に測定可能な系を確立した。また、形態学的カウント方法では、BZ-X810顕微鏡(Keyence社)を用いて、低倍率で5視野をランダムに撮影、長径50μm以上の紡錘形で円形核を有する細胞を測定しfibrocyteとした。このような方法で、fibrocyte誘導能の強い細胞株2株とほぼ誘導活性を有さない細胞株1株を同定した。臨床検体の収集では、リンパ系腫瘍で骨髄線維化を評価可能な患者80例から、文書同意を得て、血清と末梢血単核球の保存を完了した。 しかしながら、骨髄腫細胞株はRPMI1640で培養され、fibrocyteはD-MEMで誘導するため、培養上清添加の効果をD-MEM以外の培養液でも検討する必要が生じた。各細胞株のfibrocyte誘導活性の評価とバリデーションに当初の予想よりも時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
① fibrocyte分化誘導能を有する細胞株の解析 リンパ腫細胞株のfibrocyte誘導活性の検定を延期し、骨髄腫細胞株の解析を中心に行う。骨髄腫細胞株については、誘導能の強い細胞株と誘導能のほとんどない細胞株のmRNA発現を次世代シークエンサーで解析し、誘導能を有するサイトカインを探索する。もともと候補となったサイトカインはM-CSF・IL-4・IL-13・IL-34などで、探索結果を参照しながら、培養上清中のこれらサイトカイン濃度をELISAで測定し、分化誘導能との相関をみる。さらに、培養系にそれぞれの中和抗体を添加してfibrocyte分化に対する効果の変化を見て、どのサイトカインが重要かを明らかにする。 ② 骨髄線維化症例臨床検体の集積 骨髄生検で線維化の評価が可能なリンパ腫・骨髄腫症例を集積し、末梢血単核球と血清の保存を継続する。
|