研究課題/領域番号 |
21K08466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
長瀬 洋之 帝京大学, 医学部, 教授 (40365945)
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研究分担者 |
杉本 直也 帝京大学, 医学部, 助教 (40724175)
小林 このみ 帝京大学, 医学部, 助手 (70800118)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 好酸球 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / 喘息 / 免疫神経連関 / 気管支喘息 / LAMA |
研究開始時の研究の概要 |
気管支喘息では、白血球の一つである好酸球が関与した気道炎症によって症状が出現する。現在の治療薬の主軸をなす吸入ステロイド薬は優れた抗炎症作用を持つが、いまだにコントロール不十分な重症喘息が2万人以上存在する。 気道炎症は免疫系で調節されているが、ストレス等を媒介する自律神経系も免疫系を調節することが示されつつある。我々は、自律神経である副交感神経が分泌するアセチルコリンが直接好酸球を活性化することを見出した。本研究では、神経系によって、好酸球を中心とした炎症がいかに制御されるかを検討し、神経系-免疫系の連関機構を明らかにすることで、自律神経を視野に入れた新たな喘息治療戦略の確立を目指したい。
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研究実績の概要 |
気管支喘息管理は、吸入ステロイド薬 (ICS)の普及に伴い、向上してきているが、いまだに重症患者は2万人以上存在し、病態の理解に基づく治療開発のニーズは、引き続き高い。気道炎症の病態メカニズムにおいて、自律神経系と免疫系の間に種々のクロストークが存在することが明らかになりつつある。副交感神経細胞はアセチルコリン (Ach)を分泌し、気道平滑筋を収縮させる。臨床的には、長時間作用性抗コリン薬 (LAMA)は気管支喘息においても気管支拡張作用を示し、その使用が可能となっている。我々は、以前LAMAの喘息モデルに及ぼす効果を検討したところ、気道過敏性が改善するとともに、肺局所の好酸球性気道炎症も減弱していることを見出した。さらに、喘息死検体では、神経終末近傍に好酸球が集積していることが観察されており、Achを含めた神経系と好酸球性炎症の関連が示唆されてはいた。しかしながら、Ach による、直接的な好酸球活性化の有無や、神経終末への集積機構は全く不明であった。 そこで我々は、副交感神経由来のAchが、直接好酸球を活性化する可能性を考えて、in vitroで検討したところ、Achが濃度依存的に好酸球生存を延長することを見出した。これまで、Achによる好酸球の機能的活性化については、全く報告されておらず、本研究では、喘息病態での神経系-免疫系クロストークにおける好酸球の役割について、特にAchにフォーカスしてその全貌を明らかにすることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度 1. Achは好酸球遊走を惹起し、好酸球の接着分子CD11b発現を増強した: Achは濃度依存性に好酸球遊走を惹起した。細胞遊走形態は、ケモカイネーシスではなく、一方向性のケモタキシスであることも確認した。また、Achは濃度依存的にCD11b発現を増強した。Achはムスカリン受容体の非特異的なアゴニストであるが、M1、M3受容体の選択的アゴニストであるピロカルピンも、同様に接着分子発現を調節した。Achは好酸球脱顆粒 (EDN)は惹起しなかった 2. Ach による好酸球の機能的活性化は、M3受容体が媒介していた: Achによる好酸球生存延長は、M3Rアンタゴニスト (4DAMP)で有意に抑制されたが、ニコチン性Ach受容体 (nAchR)アンタゴニスト (メカミラミン)では、抑制されなかった。また、nAchRアゴニスト (DMPP)は、生存を延長せず、Achによる好酸球活性化には、M3受容体が関与することが明らかとなった。M3受容体は、臨床適用されているLAMAの作用点であり、治療的観点からも興味深い知見である。 3. Ach の受容体である、M1~M5のムスカリン受容体発現をreal-time PCRで検討し、他の臓器での発現と比較した。好酸球では、M3Rを含め、M1~M5受容体mRNA発現は、脳組織や腸菅と比較して、量的には少なかった。 4. 2022年度には、Ach による好酸球活性化における網羅的トランスクリプトーム解析を行った。Achと、最強の好酸球活性化因子である IL-5によるmRNA 発現変化を、 RNAseqを用いて検討した。AchはIL-5とは全く異なるmRNA 発現調節を惹起することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
1. RNAseqを用いて見出したAchとIL-5によるmRNA 発現変化について、発現が強く、刺激後に変化量が大きい分子について、さらにreal-time PCRで検証する。機能的活性化を生じる分子についてはその阻害実験を計画し、Ach刺激後の、2次的な好酸球活性化機構を明らかにする。 2. 2型サイトカインとAchの好酸球活性化における相互作用 (2022年度): IL-5などの2型サイトカインの機能を、Achが増強するかどうか、またAchが2型サイトカインの機能を増強するかどうかを検討する。 3. 交感神経系と好酸球との機能的連関の探索的検討 (2022-23年度): 交感神経からはノルアドレナリン (NA) が分泌され、気管支平滑筋弛緩作用を示すとともに、ILC2 機能を抑制することが報告されているが、好酸球機能にいかなる影響を及ぼすかは不明である。NA による好酸球の直接的活性化、あるいは IL-5 による生存延長などに対する機能抑制の双方の観点から検討する。 4. ヒトにおける抗コリン薬使用前後の好酸球性気道炎症の検討 (2022-23年度) : LAMAは喘息に対して保険適応となっている。 LAMA 未使用の患者において、その吸入前後で喀痰好酸球比率や、喀痰 ECP濃度測定を試み、ヒトにおけるAch阻害が、好酸球性炎症に及ぼす効果について検討する。 5. 喘息患者と健常人由来の末梢血好酸球のAch 反応性や受容体発現の比較 : 喘息患者と健常人由来好酸球のAchに対する反応性の差異や、M3R受容体発現を比較検討する。
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