研究課題/領域番号 |
21K08490
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
|
研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
田中 淳 大阪医科薬科大学, 研究支援センター, 助教 (20321953)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | シュードタイプウイルス / アルファウイルス / チクングニアウイルス / SARS-CoV-2 / スパイク蛋白質 / 新型コロナウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、エアロゾルによる感染のリスクがあるためP3施設にて細心の注意をもって取り扱う必要があり、その研究には多くの制約と危険を伴う。SARS-CoV-2の研究を P2施設で安全に行うことが出来る実験系を樹立することで抗ウイルス薬、ワクチン開発をより多くの研究施設で進めることが可能になる。本研究は、これまで応募者らが独自に開発、使用してきたアルファウイルス遺伝子発現ベクターをプラットフォームとし、SARS-CoV-2シュードウイルスベクターや、ウイルス様粒子(VLP)発現ベクター等を作製しP2施設で使用可能な実験系を構築する。
|
研究実績の概要 |
本研究ではSARS-CoV-2に対する抗体の中和活性や標的細胞のウイルス感受性をP2施設で安全に評価するためのSARS-CoV-2のスパイク蛋白質を持つシュードタイプウイルスを標識アルファウイルスベクターをベースに作製することを目的とし研究を進めた。これまでSARS-CoV-2のS蛋白質発現ベクター及びSARS-CoV-2の細胞質ドメイン領域にアルファウイルスの膜蛋白質の細胞質ドメインを置換・融合させて作製したさまざまな組換えS蛋白質発現ベクターと標識アルファウイルスベクターを用いたシュードタイプウイルスでは、アルファウイルス膜蛋白質発現ベクターを使用して作製した場合のおよそ1万分の1程度の力価(~10^2 FFU/ml)であり、わずかなシュードタイプウイルスしか産生されないことが明らかとなった。今回シュードタイプウイルス回収方法を変更することにより、これまでのウイルス力価の100倍の力価に相当する10^4 FFU/ml以上で実験室での様々な研究、試験等の使用に耐える十分なシュードタイプウイルスを回収することができた。本研究では武漢型スパイク蛋白質または、オミクロン株BA.1型スパイク蛋白質を持つシュードタイプウイルスをそれぞれ作製し、既存の抗SARS-CoV-2スパイク抗体を用いた中和試験等により、それぞれ異なる抗体クローンによって中和されることが観察された。またこれらの両SARS-CoV-2シュードタイプウイルスの感染性は、SARS-CoV-2の感染受容体であるヒトアンジオテンシン変換酵素2(ACE2、Angiotensin I converting enzyme 2)の発現に厳密に依存しており、ACE2発言のない細胞への非特異的感染は見られないことが明らかとなり、非常に厳密な試験に耐えうるシュードタイプウイルスを作製できた。現在投稿論文を作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10^4 FFU/ml以上で実験室での様々な研究、試験等の使用に耐える十分なシュードタイプウイルスを回収することができた。現在投稿論文を作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今回作製できたシュードタイプウイルスを用い、中和抗体の検討、感染阻害活性のある低分子化合物のスクリーニング等を試みる。
|