研究課題/領域番号 |
21K08504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金森 肇 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70625318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 多剤耐性菌 / 微生物ゲノム / 環境制御 / 医療環境 / ノータッチ・メソッド / 薬剤耐性 / 感染制御 |
研究開始時の研究の概要 |
医療施設ではさまざまな感染対策を実施しているが、国内外で汚染された医療環境を介した多剤耐性菌の院内感染やアウトブレイクが現在も起こっていることから、医療環境における薬剤耐性対策は重要課題である。国内の医療施設においても多剤耐性菌の伝播における感染対策はいまだ確立しておらず、環境感染制御のエビデンスの構築が必要である。本研究では、医療施設における多剤耐性菌の感染伝播における医療環境の役割を解明する。ノータッチ・メソッドを用いた環境浄化の有効性を評価し、新たな環境感染制御策を確立する。
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研究実績の概要 |
令和4年度においては、大学病院において2022年1月~12月に検出されたCREの臨床分離株を53株収集した。そのうち、3株(E. cloacae 2株、K. pneumoniae 1株)がPCR法でIMP型カルバペネマーゼ遺伝子が検出された。2021年に検出されたCPE 2株のゲノム解析結果により、1株はblaIMP-1を保有するE. cloacae ST252、別の1株はblaIMP-1とblaTMB-1保有するE. cloacae ST252と同定された。引き続き、CPEのゲノム解析により地域で流行している耐性遺伝子の同定、菌株間のゲノム比較分析を行い。CPEの流行クローンのゲノム疫学的特徴を明らかにする。 大学病院ICUで2020年7月~2022年4月に病室内のUV照射が行われた前後で同室に入室していた患者において各種培養検査における薬剤耐性菌の検出状況を検討した。非UV照射群はICUにおいてMRSA 2例を認めたが(2/451例, 0.4%)、UV照射群では照射前後の患者の各種培養検査から同一菌種の検出を認めなかった。本研究結果からUV照射装置を用いた環境消毒により多剤耐性菌の患者間伝播の予防にも有用である可能性が示唆された。また、多剤耐性菌の伝播と医療環境の役割を明らかにし、UV照射装置などのノータッチ・メソッドを用いた環境制御について日本の文献レビューを行った。近年、国内の医療施設においてもMRSA、アシネトバクター、多剤耐性緑膿菌を対象にUV照射装置を活用した事例が複数報告されていた。医療環境、清掃プラクティス、病室のデザイン、流行している薬剤耐性菌は国や地域によって異なるため、日本の医療施設でUV照射装置の環境消毒に関するエビデンスを蓄積していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学病院において対象とした多剤耐性菌の検出が少なく菌株収集が遅れているため、過去の保存株との比較検討を行う。また、検査センターでの菌株収集を開始した。さらに、多剤耐性菌のクラスター発生が少なく、環境調査の実施例が少なかったため、研究計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き臨床由来の多剤耐性菌を収集し、薬剤感受性試験、PCR法による耐性遺伝子の検出、次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を行い、多剤耐性菌のゲノム疫学的特徴を解明する。また、医療環境においてノータッチ・メソッドを活用し、臨床由来と環境由来の耐性菌を比較検討することで、多剤耐性菌の環境制御の効果を検証する。
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