研究課題/領域番号 |
21K08512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
石川 知弘 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40609327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | デングウイルス / 人工miRNAスポンジ / フラビウイルス / 抗ウイルス薬 / miRNA / スポンジ |
研究開始時の研究の概要 |
デングウイルス感染症は毎年4億例の患者が発生し、重症型のデング出血熱は予後も悪い。ワクチン由来免疫による重症化の懸念からワクチン開発が遅れているため、抗デングウイルス薬の開発が望まれている。近年発見されたcircRNA(環状RNA)は、マイクロRNAを結合・吸収するマイクロRNAスポンジとしての機能を有す。従って、ウイルス複製に必要なマイクロRNAを吸収できる人工マイクロRNAスポンジを作出できれば抗ウイルス薬として応用が期待される。本研究は、デングウイルスの複製に必要なマイクロRNAを吸収する人工マイクロRNAスポンジを作出し、抗デングウイルス薬としての評価を行うものである。
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研究実績の概要 |
デングウイルスは熱帯・亜熱帯地域に広く分布する蚊媒介性フラビウイルスの1種で、感染するとデング熱や重症病態であるデング出血熱を引き起こす。毎年1億例のデング熱、50万例のデング出血熱が発生していると推定されるが、特異的な抗ウイルス薬は認可されておらず、未だ開発段階である。 本課題は、人工miRNAスポンジを用いた新規抗デングウイルス薬の開発・評価を実施するものである。これまでの研究で、既報のmiRNAに加え、本研究課題で同定したmiRNA(miR-Exo-69)がデングウイルス全血清型に対し増殖促進能があることを見出している。 本年度はこれら候補miRNAの相補配列のリピート配列(4~5回)をコードするベクターを構築し、得られたRNAを環状化し人工miRNAスポンジとしてウイルス複製の抑制効果を評価した。その結果、全ての人工miRNAスポンジで抗ウイルス作用が確認された。また細胞内での安定性を高める工夫としてin vitro transcriptionの際にシュードUTPを用いた転写産物を用いた人工miRNAスポンジを作製し、比較解析を行ったが、シュードUTPを用いた人工miRNAスポンジは通常のUTPを用いたものと比して抗ウイルス作用は低かった。そのため、人工miRNAスポンジの作製には通常のUTPが適していることが明らかになった。 しかしながら、当初のプロトコルでは環状化の効率が高くなく実験に供する人工miRNAの収量が著しく少量となることが問題であった。そこで、各反応条件の詳細を検討するとともに発現ベクターを高コピープラスミドに変更することで収量を改善できることを見出した。現在、これら人工miRNAスポンジを用いた全デングウイルス血清型に対する抗ウイルス作用の評価を実施しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工miRNAスポンジの合成過程で環状化の効率が非常に悪く、その最適化に時間を要しているため。改善のために環状化をガイドする短鎖DNAを導入するなど種々の方策を検討した。その結果、発現ベクターを高コピープラスミドに変更し、環状化温度と反応時間の変更により収率は改善した。高収量の人工miRNAスポンジを得られていなかったので、抗デングウイルス薬としての評価を大規模に実施することが出来なかった。現在は収量が改善したため、抗デングウイルス作用の評価が実施可能となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
各種条件検討により人工miRNAスポンジの収率が改善したため、本法を用いて4種の人工miRNAスポンジを合成し、デングウイルス全血清型に対する抗ウイルス作用の評価を実施する。また、1分子に複数種のmiRNA標的を有す人工miRNAスポンジについても合成を試みる予定である。合成に成功すれば単純に4種の人工miRNAスポンジを混合する場合との比較解析を実施する予定である。
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