研究課題/領域番号 |
21K08531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
村尾 孝児 香川大学, 医学部, 教授 (20291982)
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研究分担者 |
福長 健作 香川大学, 医学部, 助教 (70746932)
井町 仁美 香川大学, 医学部, 准教授 (80380187)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ABCA1 / HDL / インスリン / 糖尿病 / 脂肪毒性 / インスリン分泌 / HDL代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
さまざまな細胞にはコレステロールを引き抜くABCA1遺伝子が発現しているが、コレステロールの引き抜きによる細胞内コレステロール含量の調節をおこなっている。膵β細胞においては、コレステロール含量が増加することでグルコース依存性インスリン分泌が障害されることが判明した。本実験の特徴は、膵β細胞のコレステロール含量を調節するABCA1の発現調節メカニズムを解明し、加えてコレステロール蓄積によるインスリン分泌不全のメカニズムを網羅的に解析し、最終的にはHDL代謝, ABCA1代謝を賦活することによる膵β細胞の脂肪毒性解除の新たな治療ストラテージを確立することにある。
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研究実績の概要 |
膵β細胞の脂肪毒性に対するATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)遺伝子発現の役割について検討してきた。ABCA1の機能低下は膵β細胞に脂質の蓄積をもたらし、結果的にはインスリン分泌に低下につながる。これまでの検討でT N F-α、AngiotensinII, OxLDLなどによりABCA1発現が低下し、膵β細胞にコレステロールが沈着し脂肪毒性が惹起される。このような膵β細胞ではグルコース応答性インスリン分泌が低下し、耐糖能異常の原因となっていると考えられる。そこでABCA1遺伝子発現を促進化合物のスクリーニングをおこなった。女性ホルモンがABCA1発現を促進することより、女性ホルモンの代謝産物を網羅的に検討した。その代謝産物の中で、2-Methoxyestradiol(2-ME)がABCA1発現を促進することを見出した。2-MEはABCA1プロモーター活性を増強したが、この効果はPI3K経路を阻害した後に減少した。Aktまたはp110の過剰発現はABCA1プロモーター活性を誘導し、ドミナントネガティブAktは2-ME2によるABCA1プロモーター活性の阻害作用を示した。さらに、2-MEはAktとFoxO1の急速なリン酸化を刺激し、FoxO1の核内蓄積を減少させた。クロマチン免疫沈降法では、FoxO1がABCA1プロモーター領域に結合していることが確認された。ABCA1プロモーター領域のFoxO1結合部位を変異させるか、FoxO1特異的siRNAで処理すると、ABCA1発現に対する2-ME2の効果が失われた。またOxLDLは逆にABCA1遺伝子の発現を抑制し膵β細胞におけるインスリン分泌を抑制する。今後、脂質沈着とインスリン分泌低下のメカニズムの検討が必要である。
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