研究課題/領域番号 |
21K08545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
今道 力敬 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00570194)
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研究分担者 |
中山 恒 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10451923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 低酸素環境 / Enzalutamide / MDA-MB-453 / スフェロイド / 抗アンドロゲン薬抵抗性 / 低酸素 / アンドロゲン / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
近年、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)のうち、 アンドロゲン受容体(AR)を発現するものに対しては抗アンドロゲン薬治療が有効であることが分かってきた。しかし、長期的なホルモン薬治療は、しばしばがん細胞に薬物抵抗性を発現させる。一方、慢性的な低酸素環境への曝露も、がん細胞に薬物抵抗性を発現させ、さらにがん細胞を悪性化することが知られている。本研究では、AR陽性 TNBCのスフェロイド培養系を構築することで、がんの低酸素環境を模倣し、TNBCの抗アンドロゲン薬抵抗性獲得における慢性低酸素環境の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、Cre recombinase (Cre)-loxP 部位特異的DNA組換えシステム(loxP-DsRed-loxP-eGFP発現ベクター系)を利用した、MDA-MB-453細胞スフェロイド内における慢性低酸素環境の可視化のための培養細胞系の構築を進めた。DsRedを発現するMDA-MB-453細胞クローンを単離・培養し、得たクローンに対して低酸素応答配列を含むプロモーターによるCre発現システムをレンチウイルスにより導入した。CRE発現システムが導入された細胞を低酸素環境下に曝露し、曝露に伴いGFPを発現するMDA-MB-453細胞クローンを選択培養した。一方、アンドロゲン受容体を高発現する乳がん由来細胞株 MDA-MB-453細胞の低酸素環境曝露における細胞内代謝変化を調べるため、長時間低酸素環境下でMDA-MB-453細胞をインキュベート後、細胞を回収・処理しサンプルを調製した。各サンプルは、キャピラリ電気泳動・飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)による水溶性代謝産物の網羅的解析に供した。低酸素環境への曝露により細胞内の乳酸濃度が増加するとともに他の代謝関連産物の変動を認めた。続いて、正常酸素環境下および低酸素環境下においてのMDA-MB-453細胞増殖に対するEnzalutamideの影響について検討した。正常酸素環境下においては高濃度のEnzalutamideによる細胞増殖の抑制を認めたが、低酸素曝露環境下では同濃度のEnzalutamideによっても細胞増殖が抑制されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低酸素環境下においてMDA-MB-453細胞の増殖はEnzalutamideの作用に抵抗性を示すという結果を得ることが出来た。また、低酸素環境下でGFPを発現する細胞群は得たものの、MDA-MB-453細胞のスフェロイド内における低酸素環境の可視化システムは構築できていない。
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今後の研究の推進方策 |
MDA-MB-453細胞のスフェロイド内における低酸素環境の可視化システムの構築を引き続き進める。低酸素環境下への長期間の曝露がMDA-MB-453細胞の遺伝子発現および細胞内代謝産物の様式にどのような影響を与えるのか明らかにするため、トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析を行う予定である。また、Enzalutamideの影響についてもMDA-MB-453細胞を用いて網羅的な解析を行う予定である。これらの方法により慢性低酸素環境下におけるMDA-MB-453細胞のEnzalutamideへの抵抗性の獲得機序を明らかにする。
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