研究課題/領域番号 |
21K08552
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
萩原 大輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70710086)
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研究分担者 |
有馬 寛 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50422770)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | バソプレシン / グルココルチコイド / 仮面尿崩症 / 大細胞性バソプレシンニューロン / 小細胞性バソプレシンニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
仮面尿崩症とは,中枢性尿崩症に副腎皮質機能低下症を合併した場合に,グルココルチコイド(GC)の分泌不全に伴い多尿が不顕性化する病態である.GCがバソプレシン(AVP)分泌を抑制することは知られているが,体循環へのAVP分泌を担う大細胞性AVPニューロン(magnAVP)にはGC受容体(GR)は発現しない.一方で,副腎皮質刺激ホルモンの放出を刺激する小細胞性AVPニューロンはGRを発現し,GCのネガティブフィードバックを受ける.本研究では,AVPニューロン特異的GRノックアウトマウスやmagnAVPへの投射ニューロンでGRをノックアウトしたマウスを用い,GCがAVP分泌を制御する機序を検討する.
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研究実績の概要 |
グルココルチコイド(GC)が大細胞性バソプレシン(AVP)ニューロン(magnAVP)におけるAVP産生を調節しているか否かを検討するために,野生型マウスにデキサメサゾン(DEX)もしくはGC受容体(GR)拮抗薬であるRU-486を腹腔内投与し,視索上核(SON)におけるAVP mRNAおよびその前駆転写産物であるAVP hnRNAをin situ hybridization(ISH)にて評価したところ,DEXとRU-486のいずれにおいても,コントロールに比してSONにおけるAVP mRNAおよびAVP hnRNAの発現に有意な差を認めなかった.以上の結果より,GCは直接的のみならず間接的にもmagnAVPにおけるAVP産生に影響を与えないことが示された. 我々が作出したAVPニューロン特異的GR欠損(AVP-GRKO)マウスでは,野生型マウスでGRの発現が認められる小細胞性AVPニューロン(parvAVP)においてGRが欠損していることが確認された.さらに,野生型マウスに比してAVP-GRKOマウスにおいてparvAVPにおけるAVPの発現が亢進していることが明らかとなった.野生型マウスとAVP-GRKOマウスの血中AVP濃度を比較すると,定常状態ではAVP-GRKOマウスにおいて血中AVP濃度が高い傾向が認められた.さらに,低ナトリウム血症を誘導すると,AVP-GRKOマウスにおいて野生型マウスに比して血中AVP濃度が有意に高いことが示された. GCはmagnAVPにおけるAVP産生に影響を与えないこと,また低ナトリウム血症下ではmagnAVPにおけるAVP産生は抑制されていることから,AVP-GRKOマウスではparvAVPにGCシグナルが伝わらないことでAVP産生が亢進し,血中AVP濃度が上昇している可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで検討を続けてきたマウスAVP濃度の測定法については,従来までのラジオイムノアッセイ(RIA)よりも,質量分析による測定法の方が安定した結果が得られるために,全面的に質量分析による測定に移行することとなった. 終盤器官(OVLT),脳弓下器官(SFO)および正中視索前核(MnPO)におけるmagnAVPへの入力ニューロンでのGR欠損実験では,事前に行ったCreレポーターマウスを用いた検討では問題なかったにも関わらず,当初の予定に反してGR flox/floxに同じアデノ随伴ウイルス(AAV)を注入してもGRの欠損を確認することができなかった.そのため,セロタイプやCreの発現を調節するプロモーターの異なるAAVを用いて実験系の確立に向けて検討を続けていたが,GCがmagnAVPにおけるAVP産生に影響を与えないことが明らかとなったため,GCシグナルが間接的にmagnAVPに働くメカニズムについて検討する必要がなくなった.
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今後の研究の推進方策 |
本課題で予定されていた実験計画は,一部を除いてほぼ終了している.論文発表の準備も並行して行っているが,3年間ですべてを完了することができず,1年間の延長を認めていただいた.早急に論文を投稿したいと考えている.
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