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動物性脂肪の過剰摂取を抑制する『足る知る脳』の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K08560
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分54040:代謝および内分泌学関連
研究機関琉球大学

研究代表者

岡本 士毅  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40342919)

研究分担者 益崎 裕章  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード食嗜好性 / CRH / PKCδ / 総摂取カロリー量 / 肥満 / 報酬
研究開始時の研究の概要

肥満は様々な代謝内分泌疾患を引き起こす強力なリスクファクターである。肥満者の多くが動物性脂肪に対する依存的な嗜好性を示し、減量後も脂肪嗜好性が改善せずリバウンドするケースが多い。しかし脂肪の食べ過ぎを抑制する脳内メカニズムの詳細は解明されていない。本研究は視床下部に存在する炭水化物食嗜好性中枢と中脳総摂取カロリー量抑制中枢の両中枢に投射する分界条床核CRHニューロンを脂肪餌摂取時にのみ光遺伝学的手法により時間的遅延なく活性化し脂肪嗜好性と総摂食量を同時に抑制することで、脂肪依存に陥った「肥満脳」から食べ過ぎずに満足する「足るを知る脳」に再構築し、肥満症に対する新規改善法の確立を目指す。

研究実績の概要

恐怖や不安制御に関わる分界条床核(BNST)に存在するストレス応答ホルモンであるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)産生ニューロン(BNST-CRHニューロン)に着目し、光遺伝学的手法を用いてマウスが動物性脂肪を摂取するために、高脂肪食餌箱にアクセスした時のみにBNST-CRHニューロンを選択的にかつ時間的な遅延を伴うことなく活性化し、脂肪嗜好性と総摂食量の両方を抑制し、効率よく肥満を軽減出来る可能性を検証している。
これまでにBNST腹側に存在するCRHニューロンを活性化したCRH Creマウスでは、脂肪嗜好性も総摂取カロリー量も抑制が検出されたC57BL/6Jマウスと異なり、脂肪嗜好性は軽減するものの総摂取カロリー量がむしろ増加する個体が多くみられた。そこでBNST背側に存在するPKCδ陽性細胞が総摂取カロリー摂取に関与する中脳縫線核(DRN)へ投射することに着目し(Wang Y. et al. Nat commun 10:2769, 2019)、BNST背側に存在するCRHニューロンの内、PKCδ陽性CRHニューロンのみを活性化することが出来るウィルスベクタープラスミドを構築した。PKCδプロモーター制御下でFlippase発現するアデノ随伴ウィルスベクターをコードするプラスミドの構築に成功した。またLoxPとFRTを含み、Cre recombinaseとFlippaseに挟まれたChR2-YFP配列を持つウィルスベクターはすでに購入済みであり、2種類のAAV作成とCRH CreマウスのBNSTへの感染実験に着手しており、脂肪食食嗜好性と総摂取カロリー量を継続的に測定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は体調が優れないことが多く、想定した実験計画を従事することが困難な時期が長く存在したため、研究計画の推進に遅延が生じてしまった。現在は順調に回復し、研究を再開している。
BNSTに存在し総摂取カロリー量を抑制するPKCδ陽性細胞を限定するためPKCδプロモーター制御化にFlippase発現するウィルスベクタープラスミドの構築に成功しており、ウィルス作成にも着手している。またLoxPとFRTを含み、Cre recombinaseとFlippaseに挟まれたChR2-YFP配列を持つウィルスベクター(Addgene)を作成し、CRH CreマウスBSNTへ同時感染及び発現誘導が必要なので、ウィルスタイターの高いAAVを2種類作成しとCreマウスへの感染実験を実施している。
また、琉球大学は令和6年度中に医学部全体の県内別地区への移転が進行中であり、今年度中に移転は完遂する予定である。それに伴い動物実験実施期間が制限されることに加え、実験動物を用いた行動観察実験が新規施設内で同等に実施できる保証がないので、本研究実験の実施とデータ確保を迅速かつ効率よく進め、遅れを解消できるよう努める。

今後の研究の推進方策

高脂肪食を摂取した瞬間に動物性脂肪摂取量を抑制する食嗜好性変化と総摂取カロリー量の抑制を同時に誘導し、肥満の解消を目指す可能性の検証に集中する。総摂取カロリー量抑制に関与する可能性が高いBNST背側のPKCδ陽性CRHニューロンを限定活性化するために、PKCδプロモーター制御下Flippase発現ウィルスベクターとLoxPとFRTを含み、Cre recombinaseとFlippaseに挟まれたChR2-YFP配列を持つウィルスベクターをCRH CreマウスBNSTに同時感染させ光プローブを留置し、マウスの摂食行動を継続的に測定する。高脂肪食の餌箱に設置した赤外線センサースイッチに連動し光プローブを通じてPKCδ陽性CRHニューロンを限定的に活性化させ、脂肪嗜好性変化と総摂取カロリー量の変化を検出する。Chr2のほかにArc-Tを含む抑制性ウィルスベクターも既に入手済みなので同神経細胞活性を抑制した際の行動変容も合わせて検討する。刺激細胞の限定発現が可能になれば、その他の測定受験はすでに確定しているので、比較的速やかに結果が得られると予想している。研究実施の遅延を考慮し、申請当時に計画したGABAやグルタミン酸陽性ニューロンなどCRH陽性ニューロン以外の投射ニューロンの関与を検討する研究を中止し、上記計画のみに集中し実施する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] 超加工食品・ゼロカロリー食品の代謝・健康への影響2024

    • 著者名/発表者名
      益崎裕章・上間 次己・岡本 士毅
    • 雑誌名

      Diabetes Journal

      巻: 51 ページ: 9-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 摂食行動制御を司る新規神経回路と肥満における変化2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 士毅・益崎裕章・箕越靖彦
    • 雑誌名

      実験医学 増刊「神経系を介した臓器ネットワーク―代謝、摂食、免疫、運動、生体リズム、冬眠」

      巻: 41 ページ: 115-115

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 食事からみた先制医療の実践2023

    • 著者名/発表者名
      益崎裕章、上間次己、本間健一郎、玉城敦子、岡本士毅
    • 雑誌名

      糖尿病・内分泌代謝科

      巻: 57 ページ: 1-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 腸脳力を活かしたQOL 向上アプローチ:運動欲求・身体活動パフォーマンスに影響する腸内細菌の新知見2023

    • 著者名/発表者名
      益崎 裕章・上間 次己・岡本 士毅
    • 雑誌名

      特集/腸内フローラのバランス異常と疾患との関わり アロスエルゴン

      巻: 3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 沖縄県の離島,久米島コホート研究における腸内フローラ・血清メタボローム解析による代謝的不健康肥満者 (MUO) の分析とPrecision Nutrition の展開2023

    • 著者名/発表者名
      上間 次己・岡本 士毅・益崎 裕章
    • 雑誌名

      特集/腸内フローラのバランス異常と疾患との関わり アロスエルゴン

      巻: 3

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 腸内フローラと脳機能にフォーカスする沖縄スタイルのPrecision Nutrition2023

    • 著者名/発表者名
      上間 次己・岡本 士毅・益崎 裕章
    • 雑誌名

      保健の科学

      巻: 65 ページ: 483-483

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 玄米機能成分をめぐる脳科学と分子栄養学2023

    • 著者名/発表者名
      益崎裕章・岡本 士毅・島袋 充生・阿部啓子・小塚智沙代
    • 雑誌名

      実験医学 増刊健康と疾患を制御する精密栄養学」 食行動を司る生体恒常性維持システム」

      巻: 41 ページ: 123-123

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 超難治性血液がんの糖代謝特性に注目した糖尿病治療薬SGLT2阻害剤の抗腫瘍効果の発見2023

    • 著者名/発表者名
      仲地 佐和子・岡本 士毅・玉城 啓太・西 由希子・森近 一穂・益崎 裕章
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 55 ページ: 65-65

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Pathophysiologic molecular crosstalk in the brain between obese and alcohol-dependent states2024

    • 著者名/発表者名
      岡本士毅、島袋充生、箕越 靖彦、益崎裕章
    • 学会等名
      第101回日本生理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 中枢神経系におけるインスリン抵抗性と食行動変化2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 士毅・益崎 裕章
    • 学会等名
      第61回日本糖尿病学会九州地方会in熊本
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 肥満が腸・脳連関に与える影響と機能性食品による改善の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 士毅・島袋 充生・箕越 靖彦・益崎 裕章
    • 学会等名
      第44回日本肥満学会・第41回日本肥満症治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [産業財産権] 認知機能改善剤、神経新生促進剤及び認知機能改善用経口組成物2022

    • 発明者名
      益崎 裕章・岡本 士毅・野村 育美・堀口 千枝
    • 権利者名
      益崎 裕章・岡本 士毅・野村 育美・堀口 千枝
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2022
    • 取得年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [産業財産権] 抗血液悪性腫瘍薬2021

    • 発明者名
      益崎 裕章・仲地 佐和子・森島 聡子・西 由希子・岡本 士毅他
    • 権利者名
      益崎 裕章・仲地 佐和子・森島 聡子・西 由希子・岡本 士毅他
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2021
    • 取得年月日
      2024
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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