研究課題/領域番号 |
21K08570
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小野 啓 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10570616)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 加齢 / インスリン抵抗性 / マウス / 筋肉 / インスリン / 糖尿病 / Akt / FoxO / 寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
インスリン抵抗性は線虫や蠅では寿命の延長に結びつくが,人を含む高等動物では糖尿病をはじめとする疾患を引き起こす。この矛盾の原因を解明するため,インスリンの下流に存在しインスリン拮抗作用を有する転写因子FoxOの4種類のアイソフォームを全身あるいは臓器特異的に過剰発現,あるいは欠損させたマウスを作成し,寿命解析や糖代謝などの表現系を解析する。糖代謝の解析には,無麻酔非拘束条件下で正常血糖高インスリン血症クランプ法を用い,生理的条件下でのインスリン感受性を精密に測定する手法を用いる。
|
研究成果の概要 |
2型糖尿病は血糖値が上昇し,合併症が生じ寿命が短縮する疾患である。2型糖尿病はインスリンの効き目が低下する(インスリン抵抗性)ことがその病態の主因であり,また中年以降に発症することが多いことから,加齢に伴いインスリン抵抗性が生じると一般には信じられている。 一方,本研究ではマウスにおいて中年期に生じたインスリン抵抗性が老年期に消失し,若年期と同等のインスリン感受性を回復することが証明された。この感受性の回復の一部は中年期に生じた肥満が老年期に一部軽快することから説明できたが,脂肪の蓄積だけで説明できない部分が残り,中年期から老年期への加齢自体がインスリン感受性を回復させることを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では加齢に伴い疾患が生じ,また健康状態が自然に悪化するという先入観が強い。しかし,それはすべての身体機能において証明されているわけではない。本研究において我々は,2型糖尿病の病態生理の本体であるインスリン抵抗性は,少なくともマウスにおいては,中年では悪化するものの老年期において自然に回復することを証明した。振り返って臨床の現場でも,中年期に発症した2型糖尿病が老年期に悪化してゆく患者は必ずしも多くない。ヒトにおいてもある年齢を過ぎると,加齢そのものが体重や肥満度とは無関係にインスリンの感受性を回復させる可能性を持つことが推測され,その仕組みを見出すことで創薬の手掛かりとなる可能性を持つ。
|