研究課題/領域番号 |
21K08572
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高山 浩昭 金沢大学, 総合技術部(医), 技術専門職員 (90725227)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | セレノプロテインP / 褐色脂肪組織 / 還元ストレス / 褐色脂肪細胞 / 適応熱産生 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに、2型糖尿病の肝臓で発現が上昇する分泌タンパク質としてセレノプロテインP(SeP)を同定し、過剰なSePが糖尿病をさらに増悪させること、またSePが抗酸化能を介して運動療法の効果を阻害することを報告した(Cell Metab. 2010, Nature Med. 2017)。加えて、褐色脂肪組織(BAT)局所で発現するSePが適応熱産生を抑制することを見いだした。そこで本研究では、SePによるBAT熱産生調節システムのさらなる解明を目的として、BAT局所でのSeP発現制御機構およびSePがBAT分化に及ぼす作用を検討する。
|
研究成果の概要 |
本研究では褐色脂肪組織局所でのセレノプロテインP(SeP)発現制御機構およびSePがBAT分化に及ぼす作用を検討した。その結果以下のことを明らかにした(1)SeP遺伝子発現は分化誘導後急速に亢進し誘導後2日目にピークに達した後、分化完了時まで高いレベルを維持した(2)SeP欠損褐色脂肪細胞ではUCP1タンパク質発現は有意に低下していた(3)褐色脂肪前駆細胞への抗酸化剤N-アセチルシステイン処置は褐色脂肪細胞への分化を抑制した。本研究課題全体を通して、抗酸化タンパク質SePの欠損も過剰な抗酸化剤投与も両方とも褐色脂肪細胞分化を抑制することを示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Reactive oxygen species (ROS) はその反応性の高さから様々な生体分子を損傷させる悪玉因子と考えられ、特に加齢、疾病に伴う酸化ストレスを抑制することが健康増進効果をもたらすと信じられてきた。一方で古くから低濃度ROSの生理的意義も指摘されており、過剰な抗酸化剤投与は還元ストレスを引き起こす。本研究の結果は、正常な脂肪細胞分化には、多すぎず少なすぎない”適度”な酸化ストレス負荷が刺激として必要であることを示唆する。今後は、脂肪細胞分化を促進/抑制する酸化ストレスの閾値が何処にあるのか探ることで、より詳細に脂肪細胞分化メカニズムが明らかになることが期待される。
|