研究課題/領域番号 |
21K08578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
坂口 一彦 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (20444573)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | メトホルミン / FDG-PET/MRI / 数理モデル解析 / 消化管 / GLUT2 / FDG/PET / グルコース / 糖輸送 / 免疫染色 |
研究開始時の研究の概要 |
メトホルミンの作用機構には不明な点が多い。近年、メトホルミン服用者では、FDG-PET/CT検査時に非代謝性グルコースであるFDGが腸管へ集積することが知られていた。 我々は高度な空間・物質解像度を持つPET/MRIを用いて、メトホルミン服用がFDGの腸管内腔への集積を増強させることを見出した。 さらにこの作用が、服用したメトホルミンの用量依存性に生じることも見いだした。 本研究ではメトホルミンによって引き起こされる新規の現象の裏付けとなるメカニズムを明らかにするため、メトホルミン服用者、非服用者のヒト腸粘膜組織の免疫組織染色を通じ、分子レベルでの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
我々は既存のFDG-PET/MRI画像の解析から、メトホルミン服用者が腸管内腔にグルコースを排泄することを見いだした。さらに腸管に特化したMRIの撮像法であるMR EnterographyとFDG-PETをsuperimposeすることにより、FDGの腸管内への集積を3次元的に検討する撮像法を確立した。この方法を用いて得られた放射活性データを数理モデル解析を行うことで、時間当たりのグルコース排泄速度を測定する手法も確立した。この方法を用いて、メトホルミン服用者5人、非服用者5人で検討したところ、メトホルミン服用者においては1.65 g/hrで、非服用者においても0.41g/hrで小腸内にグルコースが排泄されることが明らかになった。非服用者においても一定程度グルコースが排泄されることは消化管が栄養素の吸収のみならず、何らかの必要性がありグルコースを消化管内に排泄する機能を有しており、メトホルミンはその機能を促進していると考えられた。消化管内への排泄機構に関しては糖輸送担体GLUT2が可能性が高いと考えているが、免疫染色でそれを検討する方法は困難であることがあきらかとなった。現在は遺伝子発現の解析に方法をかえ、サンプルを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において患者の受診控えや院内感染予防の観点から緊急性のない内視鏡検査を控える時期があったこと、担当大学院生の移動などがあり、サンプル収集が大幅に遅れている。 また免疫染色法を実施するにあたって、既存組織標本を用いて抗体の機能を検討したが、肝臓のようにGLUT2が明らかに存在する臓器においても免疫染色に成功せず、数種類の抗体を検討するのに時間を要したが、この方法は断念した。 ただし遺伝子発現の検討のために、サンプル収集は続ける。
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今後の研究の推進方策 |
現在、メトホルミン服用群5人(目標15人)、非服用群4人(目標15人)のサンプルが得られている。新規に大学院生を担当にあて、患者のリクルートを加速する予定である。 一方、メトホルミン服用者と同様に、高度肥満者においても空腹状態において腸管粘膜側にGLUT2の発現が増えると報告されている。GLUT2を介して消化管にグルコースが排泄されるならば、肥満者においてもFDG-PET検査において消化管にFDGが集積されるはず、という仮説をたて、既存画像の解析も進めている。
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