研究課題/領域番号 |
21K08579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
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研究分担者 |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00570342)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膵β細胞 / mTORC1 / 膵島 / 脱分化 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者はこれまでに膵β細胞におけるインスリンシグナル、特にmTORC1活性が膵β細胞量調節に大きく影響することを明らかにしてきた。しかしながら、mTORC1活性が膵β細胞の可塑性、すなわち分化に及ぼす影響については現在もよくわかっていない。そこで、本研究計画では膵β細胞の可塑性にmTORC1活性が及ぼす影響とそのメカニズムの解明を目的とする。代表者が保有する膵β細胞特異的Tsc2ノックアウトマウス、2型糖尿病モデルマウスおよびヒト2型糖尿病患者の膵組織を用いて、網羅的遺伝子発現解析を通して膵β細胞の分化転換への影響を検討し、その機序解明ならびに改善策の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
代表者が独自に作成した膵β細胞特異的Tsc2ノックアウトマウスは、若齢期において膵β細胞量増大、高インスリン血症、低血糖を呈するが、45週齢前後から徐々に血糖上昇を示すことが明らかとなった。その際の膵β細胞量は若齢期と比べて有意に減少しており、またインスリン染色をしたところ膵島内のインスリン陽性細胞が不均一となっていた。既報では、膵β細胞量減少の一機序として分化異常が近年注目されており、本マウスにおいても分化転換が起こっていることが示唆された。しかしながら、膵α細胞量増大は認められず、またインスリン・グルカゴン・PP・ソマトスタチン陰性クロモグラニンA陽性細胞が認められたことから、内分泌ホルモン陰性細胞が膵島内に存在することが明らかとなった。そこで、アミラーゼ染色を行ったところ、膵島内にアミラーゼ陽性細胞が多数認められた。アミラーゼ発現が膵内分泌細胞の分化転換であることを確認するために、若齢期においてPtf1a発現を免疫染色で確認したところ、Ptf1a、クロモグラニンA共発現細胞の存在が確認された。さらにこれらの結果を確認するために、YFPマウスと交配し、Lineage tracingを行ったところ、YFP陽性Ptf1a陽性細胞がTsc2ノックアウトマウスの膵島内においてのみ確認された。また、遺伝子発現変化を確認すべくRNA-seqをしたところ、Tsc2ノックアウトマウスの10週齢ではPdx1やMafA発現が低下しており、膵島の未熟化が示唆される結果であった。さらにラパマイシンを膵β細胞特異的Tsc2ノックアウトマウスに投与したところ、膵島内のPtf1a発現は、消失した。以上の結果より、膵島におけるmTORC1活性亢進が膵β細胞の分化転換を引き起こしているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵β細胞特異的Tsc2ノックアウトマウスの解析は順調に行えている。現在、ATACシークエンスの解析中である。培養細胞を用いたin vitroの実験により、メカニズムを解明したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒト膵島にAAVを用いてTSC2をノックダウンし、可塑性に変化がでるか検討したい。また、膵β細胞特異的Tsc2ノックアウトマウスの膵島を単離し、シングルセルRNAシークエンスによって膵島内のアミラーゼ陽性細胞集団について検討を進めたい。
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