研究課題/領域番号 |
21K08602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大西 康晴 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60377257)
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研究分担者 |
佐久間 康成 自治医科大学, 医学部, 教授 (10296105)
金丸 理人 自治医科大学, 医学部, 助教 (10625544)
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
眞田 幸弘 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60406113)
大澤 英之 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / エクソソーム / 肺転移 / 腹膜播種 / 好中球 / 癌転移 / 前転移ニッチ / 骨髄前駆細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、癌細胞由来エクソソームが標的臓器を癌細胞自身が生存しやすいような微小環境(前転移ニッチ)に変化させて転移形成させ、転移先での好中球細胞外トラップ(NETs)が循環癌細胞を捕捉し転移促進することも解ってきたが、癌転移におけるエクソソームとNETsの関連性については不明である。本研究では「高転移性癌細胞が出すエクソソームが骨髄前駆細胞の分化を介して好中球のNETs産生を亢進させることで、転移の成立を促進しているのではないか?」という仮説を設定し、その正当性を明らかにする。本研究で、癌細胞由来エクソソームの新機能解明とともに骨髄前駆細胞分化制御による癌転移抑制による分子標的薬開発が期待される。
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研究実績の概要 |
マウス胃癌細胞YTN16をC57/BL6マウスの腹腔内に接種することを繰り返し、腹膜播種高転移株YTN16Pを作成した。これらの細胞株の培養上清から超遠心法を用いてエクソソームを分離、抽出し、カゼイン腹腔内投与後に腹腔内に滲出した好中球を分離し、それに添加して細胞膜非透過性核酸検出試薬SYTOXで染色してNETs誘導性を測定したところ、YTN16P由来のエクソソーム添加群でNETsの産生が有意に上昇することが確認できた。また、マウス大腿骨から採取した骨髄細胞に添加、4~24時間培養し、同様の方法でNETsを作成したところ、TN16P由来のエクソソーム添加群でNETsの産生が若干上昇する傾向が認められた。 YTN16と亜株YTN16pL6マウスの腹腔内に接種し作成した腹膜播種巣から組織切片を作成し、抗 Gr1抗体で好中球を NETs をシトルリン化ヒストン3 (Cit H3) に対する抗体で免疫染色を行ったところ、YTN16PにてGr-1(+)好中球とCit H3(+)のNETsの密度が多く、CD8(+)T細胞は少ない傾向を認めた。 また、ヒト大腸癌患者267例において53名(19.9%)が手術時メトホルミンを服用していたが、メトホルミン内服群におけるCD66b(+)好中球の密度は非内服群よりも有意に低く(100.0(34-322)/0.25mm2 vs 169.0(36-553)/0.25mm2 p <0.001)、CD66b(+)CitH3(+)のNETsの密度もメトホルミン内服群は非内服群と比較して有意に低かった(20.0(0-104)/0.25mm2 v vs 36.0(8-272)/0.25mm2 v, p <0.001)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、B16メラノーマと高転移株B16-F10由来のエクソソームにNETs誘導能に顕著な差があると想定していたが、予想とは異なり有意差を認めなかったため、候補microRNAを拾い上げる目的で別の細胞株を利用する必要があることが判明した。そこで、胃癌細胞YTN16から腹膜高転移株YTN16Pを作成し、この腹膜播種病変を用いて解析することに取り組んでいる。この実験系ではNETsの産生能に有意差は検出できた。しかし、好中球の分化、NETs産生に関するこの差異を誘導する決定的な役割を果たすmicroRNAの同定がまだ出来ていない。 一方、ヒト大腸癌サンプルにおいて、免疫染色法を用いてNETsと腫瘍浸潤リンパ球の分布状態を定量するシステムを作成することができたので、今後、いろいろながん種について活用することができる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス胃癌細胞YTN16とそのサブクローンであるYTN16Pを用いてカゼイン腹腔内投与後に腹腔内に滲出した好中球に添加し、4~24時間培養し、SYTOXで染色してNETs産生を経時的に検討するとともに、この細胞由来のエクソソームからmicroRNAを抽出し、GeneChip miRNA Arrayを用いて網羅的解析を行い、標的となるmicroRNAを数個選択する。これらのmicroRNAを委託作成し、その機能をIn vitroで解析する。 健常マウスに上記の検討で選択したmicroRNAを連日腹腔内投与し、末梢血、腹腔内の好中球が増加するか?を検討する。さらに、その実験系にて該当するmicroRNA に対するanti-miRを投与し、腹膜転移が抑制されるかを検討する。また、NETs産生を抑制するCl-AmidineないしNETsを分解するDNase Iを投与し、腹膜転移が抑制されるか?を明らかにする。 また、ヒトの大腸癌、胃癌、卵巣癌の切除サンプルを用いて、腫瘍微小環境におけるNETsの存在と細胞障害性T細胞の浸潤様式の相関性について臨床病理学的因子を含めてより深く検討を加える。
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