研究課題/領域番号 |
21K08613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安藤 亮 東北大学, 大学病院, 助教 (30772199)
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研究分担者 |
工藤 博典 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00723032)
中村 恵美 東北大学, 大学病院, 助教 (60645539)
和田 基 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80372291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | D型乳酸 / 短腸症候群 / 腸内細菌叢 / D型乳酸アシドーシス |
研究開始時の研究の概要 |
短腸症候群は、先天性の腸管欠損や、腸管壊死や運動障害によって大量の腸管切除を施行され、残存小腸が短くなり消化吸収障害に陥った病態である。D型乳酸アシドーシスは短腸症候群に発症する意識障害を伴う合併症の1つである。その発症機序は、腸内環境の変化によりD型乳酸菌が増加して、血中D型乳酸が増加することにより、代謝性アシドーシスを起こすものと推定されている。これまでにD型乳酸アシドーシスの安全で効果的な治療法は確立していない。本研究ではヒトABO式血液型抗原を認識して結合・増殖するL型乳酸菌を利用して、D型乳酸菌を排除する全く新しい視点での安全で効果的なプロバイオティクスを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
短腸症候群の合併症であるD型乳酸アシドーシスの治療において、プロバイオティクスを利用して有害乳酸菌を排除しうる安全で効果的な治療法を構築するために、短腸症候群患者の腸内フローラを解析し、D型乳酸非産生株を樹立することを本研究の目的とする。 本研究では①D型乳酸アシドーシスを来す短腸症候群患者の腸内フローラを解析し、②高定着性プロバイオティクス候補を選抜する。本学の倫理委員会に倫理申請を行い、本研究の承認を得た。 その後、当科通院中の短腸症候群患者15名に対して本研究に関する説明を行い、そのうち11名から同意を得た。同意をえた患者から採血を行い、D-/L-LACTECACID ASSAY KIT (Megazyme International Ireland Ltd, Ireland)を用いて、血中D型乳酸値の解析を行った。症例により大きく血中D型乳酸の値は異なっており、検出限界以下の症例から、症状のないときでもL型乳酸と同程度の血中D型乳酸値を呈する症例までさまざまであった。また便を用いて腸内細菌叢の16srRNAのメタゲノム解析を行った。便からは多くの菌種が同定された。血中D型乳酸値と細菌叢の関係は現在解析中である。 また、数症例でD型乳酸アシドーシス発症時の血液サンプルを解析し、血中D型乳酸の上昇を確認した。その後、抗菌薬内服にて改善した後の便を採取し、今後解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
D型乳酸アシドーシス発症時の血液サンプルでD型乳酸の上昇は確認できたが、まだ発症時および治療時の便中細菌叢の解析には至っておらず、治療による細菌叢の変化は確認できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平常時の腸内フローラのうち、D型乳酸アシドーシスを繰り返し発症する症例と発症しない症例を比較し、発症しない症例の腸内フローラで優勢な菌を同定する。 さらにD型乳酸アシドーシス発症時や抗菌薬内服治療後の腸内フローラと同定された菌を比較し、高定着性プロバイオティクス候補の順位をつける。候補となった菌を分離、培養後 に乳酸を産生させる。産生された乳酸はD-/L-LACTEC ACID ASSAY KITを用いて光学異性体を区別して測定し、D型乳酸産生の比率を算定する。D型乳酸産生がより0%に近いものを高定着性プロバイオティクス候補として分離・培養する。
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