研究課題/領域番号 |
21K08614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂東 裕子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00400680)
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研究分担者 |
宮寺 浩子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (40361464)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | neoantigen / HLA class II / 抗腫瘍免疫 / 乳癌 / public neoantigen / HLA class II拘束性ペプチド / HLA Class II拘束性ペプ チド / MHC-density assay |
研究開始時の研究の概要 |
(令和3年度)先行研究で同定したネオアンチゲンと患者のHLA Class IIアレルを用いて結合解析を行い、T細胞エピトープ判別条件を明らかにする。 (令和4,5年度)乳癌で頻度の高いミスセンス変異を選出し主要なHLA Class IIアレルと選出したペプチドの結合アッセイを網羅的に行い、Class IIに提示されうるpublic neoantigenのペプチド配列の大規模なデータセットを作成する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ホルモン感受性(HR+)難治性乳癌のpublic neoantigenからHLA class IIに提示されうるペプチド配列を見出すことである。抗腫瘍免疫には細胞傷害性T細胞だけでなくHLA class IIとヘルパーT細胞による免疫応答も中心的な役割を担うことがよく知られているが、HR+難治性乳癌が免疫療法の標的となるかは明らかにされていない。患者間共通のpublic neoantigenの中からT細胞に認識されるHLA class II拘束性ペプチドが同定されれば、汎用性の高い治療標的となりうる。そこで、HLA class IIとHR+乳癌で共有されるpublic neoantigenとの相互作用を測定し標的可能性を探索した。これまでにHLA class II拘束性ペプチドを計算機上で予測するアルゴリズムの開発が行われているが、予測精度が低いことが長年の課題であった。本研究ではHLA class II-ペプチド複合体の安定性を細胞表面発現量で評価する新規測定系を用いて、HLA class IIが提示しうるpublic neoantigenを探索する。令和3年度は、HR+難治性乳癌で共有されるpublic neoantigenから設計した変異ペプチドとHLA class IIとの結合性を新規測定系を用いて評価した。令和4年度は、結合性が高いと予測された領域に関して野生型配列との結合性を比較し、低い領域はHLA class IIアレルを変更して結合性を再評価した。また、T細胞による認識の有無(免疫原性)を確認するため、変異ペプチドと強い結合を示すHLA class IIアレルを有する健常ドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を用いてEnzyme-Linked ImmunoSpot (ELISpot)アッセイを行うための予備検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床応用されているがん遺伝子パネル検査であるFoundationOne CDx, FoundationOne Liquid CDx(Foundation Medicine, Inc.), NCC oncopanel (Agilent)に登録されている遺伝子を中心に、COSMIC (Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)のデータベースを用いて候補領域を検索した。乳癌で頻度の高い体細胞遺伝子変異(合計2遺伝子、18変異)を選択し、HLA class II アレルは日本人集団で頻度が高いものを解析対象とし、計算機上でHLA-ペプチド結合予測を行った(NetMHCIIpan4.0)。そして、研究分担者らが最近開発したMHC-ペプチド結合アッセイを用いて、結合性が予測される候補ペプチドとHLA class IIとの相互作用を測定した。その結果、HLA class IIに比較的強く結合しうる変異ペプチドを合計12種類認めた。結合性が高いと予測された領域に関して野生型配列との結合性を比較し、低い領域はHLA class IIアレルを変更して結合性を再評価した。その結果、結合性が高いと予測されるHLA class IIと変異ペプチドの組み合わせが16種類認められた。現在、T細胞による認識の有無(免疫原性)を確認するため、変異ペプチドと強い結合を示すHLA class IIアレルを有する健常ドナーの末梢血単核細胞(PBMC)を用いて、Enzyme-Linked ImmunoSpot (ELISpot)アッセイを行い、実験条件検討中である
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今後の研究の推進方策 |
野生型・変異型間とも同等に結合能が強い領域については、HLA-ペプチド複合体での変異部位の位置を推測する。また、他の結合能を示すHLA class IIアレルを有する健常ドナーのPBMCを用いて、ELISpotアッセイを行う。
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