研究課題/領域番号 |
21K08620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
居村 暁 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (90380021)
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研究分担者 |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 腫瘍微小環境 / 肝内転移 / 薬剤耐性 / 癌関連線維芽細胞 / 腫瘍関連マクロファージ / 肝星細胞 / 薬剤耐性肝癌 / 転移抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
肝癌はひとたび門脈内に進展すれば容易に肝内転移を起こすことが治療抵抗性の一要因である。また、肝癌をはじめ種々の癌において抗癌剤や分子標的治療薬といった薬物療法に対する耐性を獲得すると悪性度がさらに上昇し治療抵抗性となる。本研究で着目した肝星細胞は肝線維化、肝再生のほか腫瘍環境の免疫系にも作用すると考えられているが、活性化肝星細胞と肝癌の転移・進展機構との関連はいまだ不明な点も多い。今回、肝癌の腫瘍微小環境における肝星細胞の役割に着目し、活性化肝星細胞が肝癌細胞の転移先臓器への着床、増殖を促進するという仮説のもと、薬剤耐性肝癌の増殖・進展過程における肝星細胞制御による転移抑制機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
分子標的治療薬であるソラフェニブ、レンバチニブを肝癌細胞(Huh7)に曝露することでそれぞれの耐性株を作成し、増殖能や浸潤能・転移能が上昇していることを確認した。さらにソラフェニブ耐性肝癌では転写因子のNrf2が幹細胞マーカー・ABCトランスポーター発現上昇を介して悪性度・薬剤耐性に関与することを示した。またレンバチニブ耐性肝癌ではNrf2発現上昇を介して、ミトコンドリア内のPINK1発現・mitophagyを引き起こし悪性度が増強することを発見した。腫瘍と微小環境のinteractionに関して、Huh7で活性化させた癌関連線維芽細胞(CAF)の培養液でサイトカインアッセイを行い、CXCL12が多く分泌されていることを確認した。このCXCL12は腫瘍関連マクロファージ(TAM)をM2型に分極化させ、Huh7の悪性度上昇に寄与することを示した。またソラフェニブ耐性肝癌から放出されるBAFFというサイトカインがCAFを活性化するというinteractionを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍により活性化されたCAFがCXCL12によりTAMの分極化を促進し、腫瘍悪性度を上昇させるという腫瘍-微小環境間のinteractionを発見した。また薬剤耐性肝癌の培養方法を樹立し、悪性度増強のメカニズムを示した。さらにソラフェニブ耐性肝癌とCAFのinteractionについても、BAFFというサイトカインを同定し機序について解明した。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍-微小環境のinteractionに関して、exosomeと内包されるmiRNAに着目している。薬剤耐性肝癌細胞株からのexosomeを抽出し、miRNA発現を通常の肝癌細胞株と比較することで、薬剤耐性のさらなるメカニズムを明らかにする予定。またこれまで確認してきた薬剤耐性・腫瘍微小環境内のinteractionに関するメカニズムについて、in vivoの実験で確認を行う予定。
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