研究課題/領域番号 |
21K08644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
渡邉 健司 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (50711264)
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研究分担者 |
諌山 慧士朗 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (30780887)
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 乳がん / 次世代シークエンサー / GONAD法 / NGS / 体細胞変異 / 変異解析 / 遺伝子変異 |
研究開始時の研究の概要 |
がん組織ゲノムDNA に検出される変異は、がんの主要な特徴の一つである。遺伝子変異は、腫瘍の形成、治療薬に対する耐性獲得の原因となる。本研究では、乳がん患者で起こっている遺伝子変異をGenome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD) 法と呼ばれる遺伝子改変マウス作成を簡便にした画期的な手法を用いてマウスで再現し、解析を行うことで、変異遺伝子の機能を理解し、治療標的分子を同定する。
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研究実績の概要 |
乳がんは、女性の罹患率第 1 位のがんであり、死亡者数は未だに上昇している。乳がんを含め、がんのゲノム DNA には、多くの体細胞変異が検出されており、がんの主要な特徴の一つである。近年、次世代シークエンサー (NGS) によるハイスループットシークエンス技術の発展により、多くの体細胞変異が検出されている。検出される体細胞変異は、腫瘍形成の促進、治療薬に対する耐性獲得に寄与するが、多くの変異遺伝子の機能は不明である。これまでの研究では、1 遺伝子に 1 カ所変異を有するシングル変異遺伝子についての解析が行われてきた。しかしながら、ほとんどすべてのがんゲノムには複数の変異が検出されており複数の遺伝子変異が腫瘍形成に重要であることが示された (Neil Vasan et al., Science, 2019)。本研究では、複数変異遺伝子の機能を明らかにし、乳がん治療の標的分子を同定するために、乳がんで検出された複数のがん遺伝子変異を導入した in vivo、in vitroモデルの作成を試みた。乳がんにおける複数変異遺伝子検出のため、乳がん組織ゲノムDNAについて、次世代シークエンサーを用いた変異解析を行った結果、PIK3CA 遺伝子に複数変異が検出された。変異箇所の組み合わせを詳細に確認した結果、PIK3CA 遺伝子の中に、これまで報告されていない新たな体細胞変異の組み合わせを見出した。PIK3CA変異体を発現する細胞を作成し、細胞増殖における機能を検討した結果、一部の変異体導入細胞は、野生型の細胞と比較し、細胞増殖が促進していた。細胞増殖が促進していた変異について、変異導入 in vivo モデルを作成するため、Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD) 法を用いたノックインマウスの作成を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的を達成するために、現在、乳がん組織で検出した機能的な体細胞変異についてGenome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD) 法を用いてマウスに遺伝子変異を導入し、in vivo モデルを作成を行っている。 PIK3CA 変異の機能のスクリーニングの結果、細胞増殖が促進された機能的な変異について、 in vivo での機能を評価するため、GONAD 法による変異体導入マウスの作成を行った。gRNAおよび PIK3CA 変異を含む1本鎖オリゴを設計し、交配後のマウスの卵管に導入した。1匹複数塩基の欠損マウスを確認できたが、その他ほとんどのマウスが WT であり、想定していたPIK3CA変異導入マウスが作成できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
私たちは、複数変異遺伝子の機能を明らかにし、乳がん治療の標的分子を同定するために、現在、治療標的となりうる複数変異遺伝子を導入した in vivo モデルの作成を試みている。NGS による変異解析で検出したPIK3CA 遺伝子変異を細胞に導入し、細胞増殖への効果を確認した結果、いくつかの遺伝子変異導入細胞で、細胞増殖の促進を確認した。機能に変化があった遺伝子変異の in vivo モデルの作成を行った。gRNAおよび PIK3CA 変異を含む1本鎖オリゴを設計し、交配後のマウスの卵管に Cas9 タンパク質と共にエレクトロポレーション法により導入した。 1匹複数塩基の欠損マウスを確認できたが、その他ほとんどのマウスが WT であった。gRNA の認識効率が悪いもしくは、1本鎖オリゴ配列の品質に問題があると考えられる。 次年度は、再度 gRNA を設計、ノックインの際の組み換え効率を高めた1本鎖オリゴ配列を作成し、再度検討を行う。また、エレクトロポレーションの電圧条件を確認し、改善を試みる。
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