研究課題/領域番号 |
21K08645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西 正暁 徳島大学, 病院, 助教 (70464344)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肥満細胞 / 大腸癌 / 放射線化学療法 / 腫瘍微小環境 / 癌関連線維芽細胞 / Osteopontin |
研究開始時の研究の概要 |
これまでにmast cellを制御し、mast cell-CAF interactionを介したTME制御を試みた報告はなく、活性化肥満細胞(TAMC)から放出されたOsteopontin(OPN)により、Activated CAFが誘導され、TMEが完成すると考えられる(TME based on mast cell-CAF interaction with OPN cycle)。このmast cell-CAF interactionにおけるクロストークの詳細な解明が難治性癌治療のブレークスルーとなり得ると考え、本研究ではTMEにおけるmast cell-CAF interactionの機序解明とともに、その解除を目的とした治療戦略について検討する。
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研究実績の概要 |
【背景】腫瘍微小環境における肥満細胞(Mast cell:MC)のPro-tumor effectが明らかになりつつある。最近ではMCがTumor associated macrophage(TAM)の遊走を介して腫瘍悪性度に寄与することが報告され、腫瘍免疫との関係が示唆された(Nat Commun. 2019)。しかしながらMCと放射線化学療法(CRT)抵抗性についてはほとんど報告がない。今回我々は腫瘍微小環境におけるMC浸潤がCRT治療効果と相関し、予後と関連する結果を得た。 【方法】1) 当科で術前CRTを施行した下部直腸癌95例を対象とし、MC marker, tryptase , TAM marker, CD206 , MDSC marker, CD33の免疫染色を行った。癌部間質におけるMC、TAM、MDSC数をで算出し、MCの浸潤とCRTの治療効果を含む臨床病理学的因子との相関を検討した。2)MC cell lineを癌細胞と共培養し、TAMC(tumor associated MC)を作成、その特徴を検討した。 【結果】1) MC高浸潤群でGrade1a,1bのnon-responderが多く、TAMの高浸潤を認めた。MDSCの浸潤とは相関を認めなかった。MC高浸潤群は低浸潤群と予後が不良であった。2)作成したTAMCはmacrophaege inhibitory factor産生を介しては癌細胞増殖を促進した。 【結論】 下部直腸癌症例におけるMC浸潤はCRTの治療抵抗性、TAMの浸潤と正の相関を示し、DFSにおいて独立予後不良因子であった。MCはCRT抵抗性直腸癌の新たな治療のtargetになりうる。腫瘍微環境構築の根幹となる肥満細胞をtargetとした難治性癌の治療戦略確立を目指すことは社会的にも意義のあることであり、癌人口が増加の一途をたどる現状を考慮すると、腫瘍微小環境攻略の糸口となる治療法開発による学術的、臨床的、経済的恩恵は計り知れないと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度は、上記に示した通り、肥満細胞の実験はおおむね順調に進展している。今回、肥満細胞を制御することで腫瘍免疫制御するとの着想にいたり、肥満細胞をtherapeutic targetとした新規治療法の開発に密接に関与する可能性があると考え、本研究計画を実施した。まず初年度は患者検体・臨床データをもちいて、免疫組織学的な方法で、腫瘍微小環境における肥満細胞発現の意義を検討した。結果は下部直腸癌症例における肥満細胞浸潤は術前放射線化学療法の治療抵抗性、腫瘍関連マクロファージの浸潤と正の相関を示し、DFSにおいて独立予後不良因子であった。肥満細胞は術前放射線化学療法抵抗性直腸癌の新たな治療のtargetになりうると考えられた。In-Vitroの実験系を開始しており、腫瘍細胞のConditioned mediumを用いて、肥満細胞を培養し、腫瘍関連肥満細胞(TAMC)を作成し、結果を得ている。さらにIn vitroでの検討がすすめば、In Vitoの実験系を実施する予定である。以上のとおり、実験計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床データおよび患者検体をもちいた免疫組織学的検討により、直腸癌CRT症例において、肥満細胞が予後を規定し、重要な意義を持つことが明らかとなった。すでにIn-Vitroの実験系を開始しており、腫瘍細胞のConditioned mediumを用いて、肥満細胞を培養し、腫瘍関連肥満細胞(TAMC)の作成し、結果を得ている。さらにIn vitroでの検討がすすめば、In Vitoの実験系を実施する予定である。腫瘍微環境構築の根幹となる肥満細胞をtargetとした難治性癌の治療戦略確立を目指すことは社会的にも意義のあることであり、癌人口が増加の一途をたどる現状を考慮すると、腫瘍微小環境攻略の糸口となる治療法開発による学術的、臨床的、経済的恩恵は計り知れないと考えられる。
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