研究課題/領域番号 |
21K08646
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 雄紀 九州大学, 大学病院, 医員 (10849102)
|
研究分担者 |
松浦 俊治 九州大学, 大学病院, 准教授 (10532856)
吉丸 耕一朗 九州大学, 医学研究院, 講師 (60711190)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ダイレクトリプログラミング / iHepPC / 肝線維化 / 細胞移植 / Direct Reprogramming / hiHepPC / 肝細胞移植 / 3次元培養 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイレクトリプログラミングにより、HUVECなどのヒト由来細胞から誘導ヒト肝前駆細胞(human induced hepatic progenitor cells:hiHepPC)の作成が可能である。hiHepPCは培養下での増殖が可能であり、また3次元培養により肝細胞および胆管細胞へ分化することが確認されている。本研究はhiHepPCをマウスに移植し、その治療効果と生着率、および移植細胞の全身における分布を詳細に評価し、臨床応用に向けての有効性と安全性を検証する。また移植後の細胞について解析を行うことで、より効果的な移植法を見出すことを目的とする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、ダイレクトリプログラミング(Direct Reprogramming)を用いて作製した誘導ヒト肝前駆細胞(human induced hepatic progenitor cells:hiHepPC)の、肝線維化・肝硬変に対する効果および移植後の生着率を評価し、臨床応用に近づけることを目的とする。 まずヒト臍帯静脈内皮細胞(human umbilical vein endothelial cell:HUVEC)を用いてhiHepPCを作製し、免疫不全マウスであるNSGマウス(NOD/SCID/gammaマウス)に四塩化炭素(CCl4)を継続投与してして作製した肝線維化モデルマウスにhiHepPCの移植を行った。移植前後で肝組織の線維化の程度を定量的に評価すると、コントロールと比較して線維化が抑制されていた。加えて血清中の肝障害マーカー・肝線維化マーカーは低下し、肝組織中の肝線維化遺伝子の発現も低下していた。このことからhiHepPC移植には肝線維化抑制効果があると考えられた。 移植後の生着率評価のため、マウスの各臓器よりDNAを抽出し、それについてヒト特異的DNA配列であるAlu配列についての定量的PCR(Alu-qPCR)を行うことで、マウス臓器中のhiHepPCの定量を行った。hiHepPCは、移植後一定量が肝臓に到達するが、速やかに減少することが確認された。最終的に移植細胞は、組織学的評価およびAlu-qPCRによる評価で、ごくわずかの残存しか認められず、少なくともhiHepPCの肝臓での増殖は認めなかった。 以上の結果から、hiHepPC移植には細胞が残存・増殖することなく、肝線維化・肝硬変を抑制する効果があると考えられた。一方、その機序については現状の実験結果からは不明確であり、今後次世代シークエンサー解析を含めた追加の実験が必要と考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝線維化モデルマウスを用いたhiHepPC移植について、肝臓の組織学的評価、血清学的評価、また肝組織から抽出したRNAによる遺伝子発現評価から、肝線維化抑制効果が確認できた。昨年の段階で不十分であった、マウスのサンプル数についても、対照実験を含め十分数確保でき、効果についてより詳細に示すことができた。 一方、肝線維化抑制の詳細な機序については、定量的PCRによる評価のみでは不明確であり、RNA-Seqを含めた次世代シークエンサーによる解析が必要と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
肝線維化抑制効果の機序解明のため、以下の2つの実験を行う予定である。 ①移植マウスの肝組織についてRNA-Seqによる解析 ②hiHepPCとヒト星細胞との共培養実験 以上の実験結果をもとに機序についての考察を行う。また結果をもとに、必要な追加解析について検討を行う。
|